「世界一好き」のUAE、今度は巨大動物の収集か
巨大な「タコ」や「ワニ」の展示について、地元などの動物保護団体は冷ややかに見ている。米国の動物権利擁護団体「PETA」のアジア・中東担当幹部は野生のワニは一定時間を泳ぎながら、体温や浮力の調整を行っていると指摘。飼育場がいかに大きくても彼らにとって自然かつ必要な環境には成り得ないと主張した。
「ドバイのモールが同様施設と差を付けたいのなら、コンクリート製の飼育場で動物を閉じ込めるのとは別の方法があるだろう」とも批判した。
モールの開発業者によると、ワニ2匹はオーストラリアのワニ園から仕入れた。ドバイへの輸送は豪州政府の関連部門と協力して実施したとし、展示に伴ってはその方法や飼育担当員の資格、展示の教育的な目的などで教えを受けたとしている。
また、ワニ2匹の飼育場については世界の動物園・水族館団体が基準とする広さの3倍にしたとも主張した。
UAEの環境・水資源省は昨年、大型ネコ科や霊長類を商業目的や個人的な理由で輸入することを禁じる方針を発表した。ただ、首長国連邦ではペットとして大型ネコ科などを飼うことは自らの社会的地位を誇示する手段として根強い人気がある。画像共有サービス「インスタグラム」では、UAE住民が珍しい動物の収集を誇示する画面も見られる。
PETA幹部によると、これらの動物の取引はほとんど規制されておらず、飼育数の把握も困難になっている。生息地からの輸送の途中で死ぬ動物も多い。ただ、動物保護の概念はUAEにまだ定着していないが、理解が深まりつつあるとし、関連団体の誕生も増えていると述べた。