新型コロナ、多のう胞性卵巣症候群の女性が高リスクか
(CNN) 昨年7月、家族が新型コロナウイルス検査で陽性と判定されたブレアナ・アギラールさん(31)は、重症化リスクが指摘されるどのグループにも属していなかった。
アギラールさんはハーフマラソンに出場したこともある元体育教員。一般的な指標では健康状態は良好だった。
新型コロナに感染したアギラールさんは味覚を失って軽い発熱や筋力低下などの症状が表れ、やがて骨盤や胸部の痛み、頭痛、頭がはっきりしない、極度の疲労感などの症状に見舞われた。
数カ月たった今も、慢性的な痛みや体力の低下、頭がはっきりしないなどの症状が続き、休憩しないと15分間のウォーキングもできない状態にある。さらに、インスリン抵抗性を改善する薬やホルモンを調節する薬も服用しなければならなくなった。主治医からは、そうした新型コロナの後遺症は恐らく一生続くだろうと言われているという。
新型コロナの流行が始まってから1年以上たった今、一部の女性のリスクの高さを指摘する研究が発表された。同研究でリスクが高いとされたのは、アギラールさんのように年齢が若く、一般的な指標では健康とみなされているものの、多嚢胞(のうほう)性卵巣症候群(PCOS)をもつ女性だった。
PCOSは出産が可能な時期の女性約10人に1人の割合でみられる疾患で、生殖ホルモンのバランスが乱れて生理不順や男性ホルモンの上昇、卵巣嚢胞などの症状を引き起こすことがある。他の健康問題を伴うこともあり、そのほぼ全てが新型コロナの併存疾患と重複する。
「PCOSの影響は完全に過小評価されている。この疾患は臨床的に無関係の生殖問題とみなされているが、それは完全に間違っている。患者は高リスクグループとみなす必要がある」。英バーミンガム大学代謝システム研究所のウィプケ・アルト所長はそう解説する。
PCOSの患者の半分以上は40歳になるまでに糖尿病を発症し、太り気味や太り過ぎの人が最大で80%を占める。そうした人はインスリン抵抗性や心疾患、子宮内膜がんのリスクが高く、高血圧やビタミンD不足の症状をもつ人も多い。そうしたPCOSの合併症は、新型コロナウイルス感染症のリスク増大の可能性との関係が指摘されている。
PCOSの患者の多さや合併症の深刻さにもかかわらず、この疾患は長い間見過ごされ、誤解され、十分な研究が行われないままだった。