失われた4500年前の「太陽神殿」、考古学チームが発見か エジプト
どちらの神殿も太陽神ラーにささげられたものだが、ニウセルラーは神殿を通じて自らの権力の正統性を主張し、自分が地上で唯一の太陽神の息子であることを示そうとしたのだという。
「従って、間接的にではあるが、この神殿の主眼は生身の王の神格化を図ることにあったといえる」(ニウセルラー)
史料では全部で6つの神殿が建設されたことが示唆されているが、これ以前にはわずか2つしか発掘されていなかった。史料からは、太陽神殿がいずれもアブグラブ周辺に建設されていたことも分かるという。
ニウセルラーの太陽神殿は泥れんがの建物に非常によく似た設計だが、規模がより大きく、素材が石という違いがある。
エジプトの王がまずれんがで神殿をつくり、後に石で再建したという説は知られていないことから、泥れんがの建物がニウセルラーによって建設された可能性はないとみられる。
研究チームは今後さらなる発掘を通じ、どの王が泥れんがの神殿建設にかかわったのか突き止めたい考え。
特に陶器を調査することで、食生活や信仰など、当時の人々の生活ぶりについてさらなる知見が得られる見通しだという。
ヌッゾーロ氏や研究チームの発見については、14日放送の米ナショナルジオグラフィックの番組で取り上げられた。今回の発掘はナポリ東洋大学とポーランド科学アカデミーが実施した共同調査の一環。