肝臓移植が必要な患者急増、コロナ禍の深酒影響か 米大学研究
(CNN) 米ミシガン大学の研究者グループは30日までに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う深酒の影響で、肝臓移植が必要となった患者が急増したとする研究結果を発表した。
アルコール性肝炎を患い、肝臓移植の手術を受けたり移植を望む待機リストに載ったりした患者の人数は、コロナ禍前の水準に基づく予測と比べ50%増加したと報告した。
研究結果は、無料で利用可能な論文などを扱う米医師会のメディア「JAMAネットワーク・オープン」に掲載された。
アルコール性肝炎はしばしば、長年の大酒による影響で発症するが、短期間における過度の飲酒が原因になることもある。
ミシガン大学の研究者グループは今回の研究で、昨年3月から今年1月までの間に米国内で臓器移植リストに新たに入った患者の実際の数字を、コロナ禍前のデータを材料にした予測数字と比較。
また、2016年1月から今年までの期間で全米規模の月間単位でのアルコール類の小売り販売データも調べた。
この結果、アルコール性肝炎が原因で肝臓移植の待機者リストに組み込まれた患者の増加と、コロナ禍の最中のアルコール類の小売り販売の増加には正の相関関係があることを突き止めたという。
薬物乱用対策などを担う当局は最近、米国の成人の報告内容を下敷きに、少なくとも昨年の第4四半期(10〜12月)を含むコロナ禍における飲酒量はほぼ同量との調査結果を発表していた。ただ、ミシガン大の研究者たちの研究結果を見た場合、アルコール類の販売データは別の状況を示唆している。
研究者たちによると、アルコール類の販売実績は20年3月に急激に増加へ転じ、その後も同年全体を通じほぼ同じ水準で推移したという。
また、16年3月から今年1月にかけてアルコール性肝炎が原因で肝臓移植の待機リストに追加された人は5万1488人、移植を受けた患者は3万2320人だった。アルコール性肝炎以外の理由で臓器移植が必要な患者の人数はほとんど同一のままだったという。
研究者グループは、因果関係は確認出来ないが、アルコール類販売の過度な増加ぶりはコロナ禍における酒類の乱用の増加との関係を物語っているかもしれないと分析した。