死んだ子に寄り添い続けた母シャチ、再び同じ行動に 研究者らが懸念

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タレクアが死んだ2頭の子を運んだ時間と距離は異例だと専門家は言う/Candice Emmons/NOAA Fisheries

タレクアが死んだ2頭の子を運んだ時間と距離は異例だと専門家は言う/Candice Emmons/NOAA Fisheries

母シャチの深い悲しみ

この悲しみの行動はタレクアに肉体的・精神的に負担をかけるとして、研究者の間で懸念を引き起こしている。こどもの体重を余分に運ぶことは母親の負担となり、動きを鈍らせ、食料を探す能力に影響を与えかねない。

しかしクジラ研究センターの研究責任者マイケル・ワイス氏は、タレクアが以前、17日間にわたって悲しむ様子を見せていた間、目に見えて体調が悪化することはなかったと指摘する。これは、群れの他のシャチが食料の確保を手伝っていたことを示している可能性がある。

タレクアと似たような方法で子どもの死を悲しむ雌のシャチもいるが、18年にタレクアが生まれてすぐに死んだ子どもを連れて泳いだ距離と時間は例外的だった。ワイス氏はタレクアの現在の行動も異様だという。

タレクアは、現在14歳前後の「J47」と20年に出産した「J57」の母親であることが知られている。

シャチは通常5年ごとに出産するという。

タレクアが2頭の子を失った理由を示すデータはないが、シャチの妊娠は困難を伴う。ワイス氏によると、タレクアが属するサザンレジデントシャチでは妊娠の約70%が自然流産するか、生まれても非常に早い時期に死亡する。

ワイス氏は、サザンレジデントシャチの妊娠が失敗し、生存が難しくなっている要因として汚染物質、騒音、近親交配、主な食料源である北東太平洋のサケの不足が考えられると指摘する。

J61のようなメスの子を失うことは、個体群の繁殖能力を低下させるため、種の未来にとって特に有害だ。

研究者は、シャチが寿命を全うすると仮定すれば、理想的な条件下では5~6頭を出産することになるが、問題の一部はこの個体群のメスのほとんどが生存可能な子どもをそれほど多く産んでいない点にあると指摘している。

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