「M・ジャクソンは2カ月間熟睡していなかった」専門医が証言
ロサンゼルス(CNN) 2009年に急死した米人気歌手マイケル・ジャクソンさんの親族が米AEGライブに対して起こした不法死亡訴訟で、米ハーバード大学医学部の睡眠専門医チャールズ・ザイスラー博士は21日、ジャクソンさんは専属医から不眠症の治療薬として投与されていた麻酔薬の影響で、2カ月間、脳や体の維持に不可欠とされるレム(急速眼球運動)睡眠を一切取っていなかった可能性があると証言した。
ザイスラー博士は、プロデューサーの間でやり取りされたメールや、ジャクソンさん専属のシェフ、ヘアスタイリスト、振付師らの証言から、ジャクソンさんには生前、基本的なダンスが踊れない、長年歌ってきた歌の歌詞が思い出せない、妄想、独り言、幻聴、大幅な体重減少などの症状が見られたとした上で、「これらの症状は、長期の睡眠遮断により引き起こされた可能性が高い」と語った。
ザイスラー博士によると、プロポフォールは正常な睡眠サイクルを乱し、レム睡眠が取れなくなるが、患者はまるでぐっすり寝た後のような爽快な気分になるという。ただこの場合、脳細胞の修復や体の疲労回復といった本来の睡眠の効果はない。
またザイスラー博士は、仮にジャクソンさんが2009年6月25日にプロポフォールの過剰投与で死亡しなかったとしても、レム睡眠不足が原因で数日以内に死亡していた可能性が高いと語った。
博士は、実験用ラットはレム睡眠を取らなくなってから5週間後に死亡したとし、人間に2カ月もの間、毎晩プロポフォールを投与し続けるなど、マレー医師がジャクソンさんに行うまで1度も行われたことはなかったと述べた。