新国立競技場の「自転車ヘルメット」デザインで揺れる日本
東京(CNN) 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設をめぐり、大きなアーチを備えたザハ・ハディド氏の現行のデザインが当初予想よりもはるかに費用がかかることなどから、建設を進めるべきか議論が続いている。
当初約1620億円とされた総工費は、大幅に引き上げられて2500億円が見込まれるという。
下村文部科学相は先ごろ、2019年開催のラグビーワールドカップ以前に完成可能であれば代替案も検討が可能との見方を示した。だが文科省関係者はその後、現行案で既にコスト削減のための見直しを行っていると言及。批判の多いアーチのデザインを中止した場合、ハディド氏のデザインとは言えなくなるとして、現状を維持する方向で検討中だと明らかにした。
7月初めまでには最終決定される見込みだという。
イラク出身のハディド氏の超モダンなデザインは国際コンペで選ばれた。だが、従来の競技場に比べ非常に規模が大きく建築費もかかるものだったため、当初から厳しい批判があり、「自転車用のヘルメット」のようなデザインだと揶揄(やゆ)されてきた。また旧国立競技場の解体の遅れや、資材費と建設費の高騰といった問題も発生した。
プリツカー賞受賞者で東京体育館などの設計で知られる槇文彦氏らのグループは、ハディド案から特徴的なアーチを取り去り、建設費を削減する案を提唱。最大の問題はコストと建設期間の長さだとの見方を示した。
また、テンプル大学のジェフリー・キングストン教授は、旧国立競技場を改修して使うべきだと主張。「これほど大きな競技場が必要となるイベントなどほとんどない」と指摘した。