コービー・ブライアント氏死亡のヘリ墜落事故、当局の撮影写真巡り42億円の賠償命令
(CNN) 2020年1月に米プロバスケットボール(NBA)の元スター選手、コービー・ブライアントさんなど9人が死亡したヘリコプター墜落事故で、当局による遺体写真の撮影や共有で精神的苦痛を受けたとして遺族が当局に損害賠償を求めた裁判で、ロサンゼルスの連邦裁判所の陪審団は24日、ロサンゼルス郡が原告の憲法上の権利を侵害したと認定し、3100万ドル(約42億5000万円)の支払いを命じた。
原告のブライアントさんの妻バネッサさんには1600万ドル、妻子を亡くしたクリストファー・チェスターさんには1500万ドルの賠償が認められた。
事故ではコービー・ブライアントさんやその娘のジアナさんなど9人が死亡した。バネッサさんとチェスターさんがロサンゼルス郡保安官や消防局を提訴していた。
法廷で11日間にわたり証人の証言が続いた後、9人の陪審団は評議入りし3時間半で評決に達した。
評議前の最終弁論で、ロサンゼルス郡の弁護士は「写真のない写真裁判だ」と述べ、遺体写真は実際には公衆の目に触れておらず、原告さえ見ていないと主張した。
一方、バネッサさんの弁護士はこうした写真を撮影した郡の行為自体が見境のない非人道的な行為で、精神的苦痛を与えたと反論。「彼らは癒えない傷に塩を塗り込んだ。我々が今日ここにいるのはそのためだ」と語った。
原告2人は、こうした写真の撮影や共有で自分たちの憲法上の権利が侵害されたと述べ、バネッサさんに最大4250万ドル、チェスターさんに3250万ドルの賠償を求めた。
ロサンゼルス郡はこれに対し、写真の調査と削除、拡散防止に適切に対応したと主張した。
出廷した証人の中には、バーで現場の生々しい写真を見せたと語る保安官代理や、ビデオゲーム中に写真を共有したと証言する別の保安官代理など、他人に写真を見せたり共有したりしたと発言する当局者が続いた。
20年9月には、カリフォルニア州のニューサム知事が「コービー・ブライアント法」と呼ばれるプライバシー侵害法案に署名。事件等の最初の対応者が「正式な法執行目的以外で」犯罪現場の遺体写真を共有することを違法とし、違反1件につき最大1000ドルの罰金が科されると定めた。
ヘリコプターはカリフォルニア州カラバサスの山腹に墜落した。米国家運輸安全委員会(NTSB)は事故原因について、操縦士が悪天候時の飛行規則の限界を超えて飛行したことにあると断定した。