橋と運河の街ベネチア、バリアフリーのルートを新設へ
(CNN) 街に運河が張り巡らされ、400を超える橋と美しい石畳で知られるイタリアの街、ベネチア。これまで車いすでの観光はほぼ不可能だったが、新たにバリアフリーの散策ルートを設ける計画が始動している。
ベネチア市内の主要な名所をだれもが訪れることができるよう、市の玄関口であるローマ広場から中心部のサンマルコ広場まで、段差をなくして水上バス「バポレット」を利用するルートを整備する。
市議会の発表によると、まずルート沿いの4カ所と市民生活に欠かせない2カ所の橋などに、総額90万ユーロ(約1億2000万円)の予算でスロープを設ける。
運河に架かる橋は、歩行に不自由を抱える人たちの多くにとって乗り越えられない障壁となっている/Marco Piraccini/Mondadori Portfolio/Getty Images
ルートは当初、車いす用と想定されていたが、計画をさらに拡大し、目の不自由な人のための設備なども追加した。地面にはすべり止めを施し、騒音の発生しない材料を選んで使う。
ベネチアでは文化遺産を保護するために工事が厳しく規制されているものの、当局との交渉を通し、体が不自由な人に配慮したアクセシビリティー(利用のしやすさ)の模範例になることを目指すという。
2016年にはゴンドラ業者2人が車いすで乗れるゴンドラを自費で開発するプロジェクトに乗り出したが、計画はその後、予算不足でとん挫していた。