飛行時間わずか2分、世界で最も短いフライトを体験 英スコットランド

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この日最後となる便がパパ・ウェストレー島の空港に戻ってくる/Barry Neild/CNN

この日最後となる便がパパ・ウェストレー島の空港に戻ってくる/Barry Neild/CNN

吹きさらしの空港

そしてパイロットから肩越しに安全に関する簡単な説明を受けた後、いよいよ離陸だ。回転するアナログ式高度計の針や姿勢指示器の水平線の傾きを見ていると、窓の外の景色を眺めるのと同じくらい興奮する。

しかし、窓から眺める景色に勝るものはない。この時は8月上旬だったので、ゲアセイ島とラウジー島の上空を飛んでいる間、オークニーの農場のサマーグリーンのパッチワークと青緑色の大西洋が交互に見えた。

わずか15分間飛行した後、飛行機はウェストレー空港に到着した。ウェストレー空港は、1軒の小さな建物、砂利の滑走路、アスファルトの誘導路からなる吹きさらしの空港だ。ここではパパ・ウェストレー島に向かう乗客を1人乗せ、すぐに出発した。

そしてこのパパ・ウェストレー島に向かう便こそが記録的に短いフライトで、その飛行距離は大半の主要空港の滑走路よりも短い。座席の背面に路線図を表示するスクリーンなど不要だ。なにしろまだ離陸もしないうちから、窓越しに着陸地点が見えているのだから。

離陸の瞬間からストップウォッチで到着までの時間を計測した。この日は風向きの影響で通常よりも時間がかかったが、それでもわずか2分40秒弱しかかからなかった。

着陸も非常に興奮する瞬間だ。我々の飛行機がパパ・ウェストレー空港の砂利のメイン滑走路(この空港には風向きが悪い時でも着陸できるように、メインの滑走路以外に野草を刈って作った2本の滑走路がある)に着陸すると、周辺が突然慌ただしくなる。

まず、2人の兄弟が乗る消防車が待機している。この兄弟は、飛行機が着陸する時だけ近所で行っている農作業を中断し、空港に駆け付ける。そして飛行機が出発すると、管制塔に勤務する女性がロイヤルメールの制服を着てワゴン車に乗り込み、郵便の配達に向かう。

飛行機のエンジン音が遠ざかると、空港は静寂に包まれる。この場所からは、見るべきものは何もない。樹木のない島は殺風景で、ほとんど放棄された島のように見える。

しかし、実際はそうではない。パパイとも呼ばれるこのパパ・ウェストレー島は、小さいながら非常に魅力的な島だ。

この記録的に短く、スリル満点のフライトは、20ドル(約2300円)という料金に見合うすばらしい体験かもしれないが、実はこの島自体がこの旅の真の目玉だ。特にジョナサン・フォードさんにガイドをしてもらえば間違いない。

この島に住み始めて約8年になるフォードさんは、「パパイレンジャー」として勤務している。パパイレンジャーの仕事は、ツアーやボート旅行の運営、イベントの企画、アートプロジェクトの作成、島の野生生物の監視など、多岐にわたる。

帰りのフライトまで7時間近くあるが、「暇つぶし」の手段には事欠かない。

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