飛行時間わずか2分、世界で最も短いフライトを体験 英スコットランド
横向きの着陸
島の散策を終え、その日の最終便の出発時刻が近づくと、小さなパパ・ウェストレー空港のコミュニティーが再び活動し始める。農家兼消防士の兄弟、ボビー・レンダルさんとデビッド・レンダルさんは、再びトラックで滑走路のパトロールを行う。
やがてBN―2のエンジン音が聞こえてきて、オークニーでの飛行歴17年のベテランパイロット、コリン・マカリスターさんが完璧な着陸を決めた。フォードさんによると、マカリスターさんや彼の同僚のパイロットたちは、冬の厳しい気象条件下でも飛行機を完璧に着陸させるという。
フォードさんは「夏はほぼオートパイロット(自動操縦)で飛べるので、冬こそが彼らの稼ぎ時だ」と述べ、「飛行機がほぼ横向きの状態で着陸するのを目撃したことがある」と付け加えた。
どの季節でも、(島民にとって)飛行機は島と外の世界とを結ぶ重要な架け橋だ、とフォードさんは言う。
パパ・ウェストレー島にはボートサービスもあるが、カークウォールまで飛行機が飛んでいるおかげで、生活に必要不可欠な医療・社会サービスをすぐに利用できる。また我々の多くがあって当然と考えている美容院、カフェ、仕事にも飛行機がなければ行かれない。さらに年長の子どもたちにとって飛行機はスクールバスでもある。
パイロットのマカリスターさんが操縦席に着き、離陸の準備が整った。今回は風向きが良く、この飛行機の最高時速240キロに近い速度で飛べるため、飛行時間は短い。
飛行中は、一瞬一瞬に新鮮な喜びを感じる。行きと同様、小型機に乗り、パイロットが手際良く操縦する様子を見ているだけでわくわくする。また前方の景色を眺めたり、迫ってくる地平線が見られる喜びもある。そして何より、上空から眺めるオークニーの島々や海は美しい。
そして飛行機は、離陸からちょうど1分8秒後にウェストレー空港に着陸した。世界で最も短いフライトは、行きよりも帰りの方がわずかに短かった。