(CNN) 米FOXニュースでさえ事態は芳しくないかもしれないと示唆したのだから、トランプ大統領にとってはひどい一日だろう。
FOXニュースが関税導入によるインフレと経済の不確実性に対する国民の懸念を浮き彫りにした世論調査を発表したことを受け、トランプ氏は24日、メディア王ルパート・マードック氏と同氏が名誉会長を務めるメディア企業2社を批判した。
トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、マードック氏、FOXニュース、そして米紙ウォールストリート・ジャーナルを痛烈に批判。ルパート氏が「長年にわたりFOXニュースの反トランプ偽世論調査を廃止すると私に言っていたが、全く実行していない」と主張した。
トランプ氏は「この『世論調査会社』は、私とMAGA(米国を再び偉大に)について長年誤解させてきた」「もっと言えば、親中国のウォールストリート・ジャーナルの変革にも着手すべきだ。最悪だ」と痛罵した。
トランプ氏の非難は、FOXニュースの23日の世論調査に対する反応とみられる。調査は、まもなく就任100日を迎える同氏に対する国民の意識を調査したもの。FOXニュースはコメントの求めに応じなかった。
FOXニュースの上級特派員リッチ・エドソン氏は24日、同局の朝の番組に出演し、世論調査は米国の有権者がトランプ氏の関税政策に「懐疑的」であることを示していると語った。
この番組には別の番組の司会者も出演し、トランプ氏は関税が力になると信じているかもしれないが、現実には「多くの中小企業が不安を抱えており、貿易協定はまだ締結されていない」と指摘した。
トランプ氏の経済政策に対する支持率の落ち込みを示す主要な世論調査は、これにとどまらない。ロイター通信とイプソスが今週実施した世論調査によると、同氏の経済政策を支持する米国人はわずか37%で、1期目と2期目を通して最低を記録した。ギャラップが同じく今週実施した最新の世論調査では、経済状況が悪化していると考える米国人が過去最高の53%に上り、2001年以来の水準となった。
トランプ氏が2期目に入ってからSNSでFOXニュースを批判したのは今回が2度目。今回は同氏が抱える懸念をFOXニュースのトップにぶつけた。
トランプ氏は就任以降、FOXについて50回以上も投稿。そのほとんどは好意的な報道や側近の出演を宣伝するためだ。しかし先月には同メディアのホワイトハウス担当上級特派員、ジャッキー・ハインリッヒ氏を個人的に攻撃。同氏が共同司会を務める週末の番組を視聴したトランプ氏は、約1000万人のフォロワーに向け「彼女は本当にひどいと思った」と投稿した。「驚きはないが、彼女がホワイトハウス記者協会の支持者だとあとで分かった」
一方、ウォールストリート・ジャーナルは、2期目のトランプ氏から頻繁に怒りの矛先を向けられている。トランプ氏は同紙とその保守寄りの編集チームが自身の関税政策を批判的に報じたことを何度も非難してきた。
長年にわたり、トランプ氏のマードック氏への態度は二転三転している。FOXニュースは長くトランプ氏のお気に入りのニュースメディアの一つだったが、ニューヨーク・ポスト紙が24年の大統領選への出馬について嘲笑したことをめぐり、トランプ氏はマードック氏を「クソ野郎」呼ばわりしたこともある。同紙はマードック氏が所有するメディアの一つ。
一方のマードック氏もトランプ氏に対する見解はあいまいにしてきた。ドミニオン社との名誉毀損(きそん)訴訟の記録からは、同氏が2期目のトランプ氏を軽蔑していることが読み取れる。マードック氏はトランプ氏を端的に「クソバカ」と評しているのだ。
それでもなお、マードック氏はトランプ氏に取り入ることもやめていない。同氏は2月初旬、大統領執務室を訪れた。
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本稿はCNNのリアム・ライリー記者、アンドリュー・キレル記者による分析記事です。