トランプ氏のFRB議長解任発言撤回と対中方針転換、背景にCEOらの忠告

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連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長/Erin Hooley/AP

連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長/Erin Hooley/AP

(CNN) トランプ米大統領による、特に中国に対する未曽有の関税措置と、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長への最近の攻撃は、一部の上級顧問や米大手企業の最高経営責任者(CEO)を不安にさせた。補佐官やCEOらは金融に混乱が生じ、店頭から商品が消えかねないと警鐘を鳴らしている。このやり取りに詳しい関係者が明らかにした。

こうした警告や今週の市場の不安定さは突破口を迎えたようだ。トランプ氏は22日、パウエル氏の解任を試みるという脅しを撤回し、大統領執務室で記者団に対し「解任するつもりはない」と述べた。

この発言を受け、ウォール街では安堵(あんど)のため息が漏れた。ベッセント財務長官が、トランプ氏は中国との貿易戦争の緩和を探ると発言したことを受け、22日の株価は急騰。米国市場は23日、さらに上昇した。

事情に詳しい関係者によると、政権高官らもトランプ氏のこの発言に安堵したという。当局者らは、トランプ氏の激化した発言に動揺し、FRB議長を解任しようとした場合、法的な争いが長期に及ぶことを懸念していた。

ダウ工業株平均は420ポイント高で引けた。S&P500株価指数は1.67%、ハイテク株中心のナスダック総合指数は2.5%上昇した。

ベッセント氏は23日、記者団に対し、「完全にバランスの取れた状態を取り戻すには2~3年かかる」と述べた。事情に詳しい関係者がCNNに確認した。

また、トランプ氏は同日、記者団に対し、政権は貿易に関して中国と「公正な合意」を結ぶと語った。

トランプ氏、CEOらとの会談後に姿勢を転換

トランプ氏がパウエル氏と中国に対する姿勢を大きく転換した前日には、大統領執務室で米大手小売4社のCEOと非公式の会談が行われた。CEOらは、関税政策による経済的影響の拡大と、それが金融市場にもたらした不確実性についての懸念を伝えた。

ウォルマートやホーム・デポなどのCEOは、サプライチェーン(供給網)の混乱と消費者への影響について率直な意見を表明したが、政権当局者らによると、CEOらはトランプ氏に対し、同氏の政策が実際にどのような影響を与えるかを訴える活動の一環としてホワイトハウスに招待されたという。

関税は小売業界に大きな圧力をかけている。CEOらは、数週間以内にさらに鮮明になるであろう経済の悲惨な状況を示唆し、全米の店頭が「まもなく空になる」恐れがあると警告したと、会合に詳しい関係者2人は述べた。

ワイルズ首席補佐官をはじめとする上級顧問らは数週間前から、トランプ氏の関税政策の影響と、パウエル氏解任の脅しに関する、ビジネスリーダーたちからの懸念の電話に対応してきた。

トランプ氏の多くの顧問は、同氏が最終的にパウエル氏を解任しようとするとは考えていなかった。ベッセント氏を含む経済チームが数カ月にわたりトランプ氏に忠告していたためだ。

そして、トランプ氏自身もこれを受け止めているように見えた。

しかし、ここ1週間のトランプ氏の発言は同氏の意図について新たな不確実性を生み出していた。特に、17日にSNSで「パウエル氏はただちに退任すべきだ」と書き込み、21日にパウエル氏を「負け犬」呼ばわりしたことで不確実性は高まった。

一方でホワイトハウス当局者はずっと以前から、パウエル氏の解任は法的問題や市場の混乱を招くと判断していた。

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