イーロン・マスク氏、「DOGEに割く時間を大幅に減らす」 テスラの利益急落
(CNN) 米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は22日、テスラの収益減を招いたと批判されている政府効率化省(DOGE)の役職から部分的に身を引き、テスラに戻る考えを表明した。
マスク氏は投資家に対し、来月からDOGEでの業務を週1〜2日に縮小すると説明。電話での決算会見で「来月5月から、DOGEに割く時間は大幅に減る」と明らかにした。
ただ、DOGEでの自身の仕事については擁護した。「無駄と不正」を減らすために必要との見方を示し、投資家に「目先の障害を越えて先を見据える」よう促した。
テスラはこれに先立ち、1~3月期の業績が予想を大幅に下回り、激化する貿易戦争の影響で年内残りの見通しが不透明になっていると報告していた。
テスラは他の大半の自動車メーカーに比べ関税の影響が小さいものの、現在の貿易紛争を踏まえ業績予想を見直す必要があるとも明らかにした。
「グローバル貿易政策の変化が自動車・エネルギーの供給網や当社のコスト構造、耐久財の需要、関連サービスに与える影響を見極めるのは困難だ」としている。
トランプ米大統領は今月3日、自動車輸入に対する関税を発動。部品に対しても今月数カ月以内に追加関税を課すと言明した。
テスラは米国内で販売する自動車を国内工場で生産しているため、他の大手自動車メーカーに比べ輸入車関税の影響は小さいものの、国内工場での組み立てに使う車両の部品は輸入している。
マスク氏は貿易政策の不透明さについてトランプ氏を名指しして非難はしなかったものの、この問題に関して政権と距離を置こうと試みた。
「関税に関する決定は米国の大統領に一任されている。私が行うのは助言だ。私は関税の引き下げが繁栄に資すると何度も公言してきたし、今後も高関税ではなく低関税を訴え続ける。それが私にできることの全てだ」(マスク氏)
テスラの決算報告では売上高が9%減少。自動車部門の売り上げは20%減、調整後利益は39%減と、いずれも予想を上回る落ち込みとなった。純利益は前年同期比71%の急落となった。
テスラは4月上旬、第1四半期の売り上げが過去最大の販売減に直面し、前年同期比5万台少ない納車台数だったと投資家に警告していた。販売急減により、テスラの売り上げは約3年ぶりの低水準に落ち込んだ。
アナリストはここ数週間、過去最大となった売り上げの落ち込みの主因はDOGEのトップというマスク氏の役職にあると指摘。これがテスラのショールーム前での抗議や、関連施設での破壊行動につながったとの見方を示している。