トランプ氏、ゼレンスキー氏を非難 ロシアのクリミア支配を認めない発言は「有害」
(CNN) トランプ米大統領は23日、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアによるクリミア半島支配を認めないと発言したことを非難し、「ロシアとの和平交渉に非常に有害」との認識を示した。
トランプ氏はSNSトゥルース・ソーシャルに、「ゼレンスキー氏のような扇動的発言が、この戦争の解決を非常に困難にしている。彼には誇れるものなど何もない。ウクライナの状況は悲惨であり、彼は和平を選ぶか、もう3年間戦い続けて国全体を失うかのどちらかしかない」と投稿した。
この数時間前には、ルビオ米国務長官がロシアのウクライナ戦争終結に向けた英ロンドンでの会合を欠席すると表明。会合の格が落ちる事態になっていた。
ルビオ氏はウクライナや英国、欧州の当局者との協議に参加する予定だったが、ブルース国務省報道官は22日、「ロジスティクス上の問題」により出席を取りやめたと説明した。ただ、米当局者と事情に詳しい欧州の外交官2人によれば、政権側は協議が決定的な局面に至っていないと判断しており、ルビオ氏も出席が時間の最善の使い方になるとは考えなかったという。
欧州の外交官の一人は「事態打開が近いという幻想を抱かせるより、協議をじっくり進める方が良かった」と述べた。
英外務省は23日、会合が下位レベルで行われることを確認。報道陣に対し「公式レベルの協議は継続されるが、これは報道機関には公開されない」と告げた。
こうした展開により、戦争終結に向けた外交努力に新たな不確実性が加わった。米国はウクライナ政府に合意を強いる姿勢を強めているが、ウクライナ側は2014年からロシアに占領されているクリミア半島や、22年の全面侵攻以降に奪取された東部地域を断固手放さない姿勢を示している。
バンス米副大統領は23日、インドを訪問中に記者団の取材に応じ、「ロシアとウクライナ双方に明確な提案を出した。いまや合意するか、米国がこのプロセスから撤退するかの時だ。我々は異例の量の外交努力と現地対応を重ねてきた」と述べ、協議からの離脱を示唆した。
ロシアのクリミア支配を承認する動きはすべて、米国の10年来の政策を覆すことになる。
ゼレンスキー大統領は22日、ロシアとの協議には前向きだが、ロシア政府によるクリミア支配を認める取引は受け入れないと明言。「ウクライナはクリミア占領を法的に承認するつもりはない」と述べ、 「話すことは何もない。それは我々の憲法に反する」との認識を示した。