エスパー米国防長官、軍の動員支持せず トランプ大統領と一線
ワシントン(CNN) 米国防総省のエスパー長官は3日、全米で続く大規模デモ鎮圧のために軍を動員することは支持しないと表明した。黒人男性ジョージ・フロイドさんの死をきっかけとするデモは全米で激化しているが、軍の動員は最後の手段とすべきとの認識を示したもので、この発言をめぐってエスパー長官が一層不安定な立場に立たされる可能性もある。
国防総省本部で記者会見したエスパー長官は、軍の動員について「今はそうした状況にない」と述べ、治安維持のために軍の動員も辞さないとしたトランプ大統領とは距離を置く姿勢を示した。
エスパー長官は、「治安維持のために軍を使うという選択肢は最後の手段として行使すべきであり、最も緊急かつ差し迫った状況のみとしなければならない。我々は今、そうした状況にない。反乱法の発動は支持しない」と言明した。
この発言をめぐり、エスパー長官のホワイトハウスでの立場が一層危うくなる可能性もある。
ホワイトハウスのマクナニー報道官は3日、トランプ大統領が今もエスパー長官に信頼を置いているかどうかという質問に対して直接的な返答を避け、「現時点では、エスパー長官はまだエスパー長官だ」と述べた。
与党共和党の幹部はCNNの取材に対し、トランプ大統領はエスパー長官を信頼していないと語った。エスパー長官に影響力はほとんどなく、基本的にはポンペオ国務長官に従っている状態だという。今回の記者会見で事態がさらに悪化したのは間違いないとこの幹部は話している。