米NJ州上院選 共和党候補が番狂わせ、民主党の上院議長に勝利 CNN予測
(CNN) 米ニュージャージー州で上院選が行われ、CNNの予測では、共和党候補のエド・デュール氏が民主党候補のスティーブ・スウィーニー氏を破る見通しとなった。
トラック運転手として20年働き、一度も公選職に就いたことのないデュール氏は、銃を携帯する許可証の取得を拒まれたのをきっかけに地元ニュージャージー州の上院選への立候補を決めた。
選挙日まで残り11日の時点で、デュール氏の選挙陣営の支出は2500ドル(約28万円)に満たなかった。相手の民主党候補、スウィーニー氏は2001年に初当選し、上院議長を長く務める大物。今回の選挙でも勝利は固いとみられていた。
ところが、CNNはデュール氏がスウィーニー氏を破るとの予測を発表した。同州では州知事選でも、楽勝するとみられていた民主党候補のフィル・マーフィー氏が共和党候補のジャック・チャッタレリ氏をわずか2ポイント前後の差で辛うじて上回るなど、民主党に対する逆風を明確に示す結果が出ている。
デュール氏は、選挙後のFOXニュースとのインタビューで、州議会での最優先事項は何かと問われ、「人々の声になること」と回答。「私には知識があまりない。それが重要な要素だ。何を知らないのかも分かっていない。だから知る必要のあることをしっかり学んでいく」「1つ約束しよう。私は声となり、人々は私の声を聞くだろう。というのも人々が私について分かることが1つあるとすれば、それはよくしゃべるということだから」と語った。
過去には物議をかもすツイートも
一方でデュール氏は、すでに過去のツイートに関する説明を求められてもいる。これらのツイートは、CNNを含む各メディアが明らかにした。
CNNが入手したツイートの記録によると、デュール氏は19年にイスラム教と預言者ムハンマドを嫌悪する内容のツイートを1度行っている。20年には他のユーザーへ送った1本のツイートに、陰謀論「Qアノン」への支持を示唆するハッシュタグを付けていた。
また18年のツイートでは不法移民の受け入れ反対や、国境での壁の建設を求める考えを表明。このほかCNNが発見したツイートの中には新型コロナウイルスを「チャイナウイルス」と呼んだり、「不法移民の大量流入」のせいで「疾病が再来する」と書き込んだものもあった。
別のツイートでは、気候危機の存在を否定。同じ投稿の中で、NGOの「プランド・ペアレントフッド(家族計画連盟)」を「殺人者」だとも述べている。この投稿の後、同氏のツイッターのアカウントは削除された。CNNはデュール氏とツイッター社に連絡を取り、コメントを求めている。
デュール氏はCNN提携局KYWへの声明で、過去のイスラム教嫌悪のコメントについて謝罪。すべての人に対し、自ら選んだ神に祈りをささげる権利を擁護すると述べた。選挙区内のイスラム教コミュニティーのリーダーや、イスラム教市民団体「米イスラム関係評議会(CAIR)」の代表者らと近く会談することでも合意しているという。
その他の侮辱的な投稿に関して、デュール氏が説明を求められたのかどうかは明らかになっていない。
スウィーニー氏は敗北認めず
デュール氏は、選挙に当たり作成した宣伝動画の中で、スウィーニー氏を批判。マーフィー州知事が新型コロナ対応を誤っているにもかかわらず、「黙って見ていた」だけだったと指摘した。
そのうえで「(スウィーニー)上院議長は州都トレントンで20年過ごしている」「その間に税金は上がり、債務は増え、生活費は上昇した。このままでいいはずがない。ニュージャージーが変わる時が来た。だから一緒に、一党支配を終わらせよう」と訴えていた。
動画はデュール氏がトラックの運転席を降りるところから始まり、オートバイに乗って走り去る場面で終わる。
一方のスウィーニー氏は、まだ選挙戦の敗北を認めていない。同氏には組織力で勝り、資金も潤沢な対立候補を打ち負かしてきた過去の実績がある。
このままデュール氏が予想外の勝利を収めたとしても、州議会の主導権を民主党が握る状況は変わらない。しかし知事選と下院選で敗北を喫したバージニア州の結果などと併せて考慮するなら、民主党にとって来年の中間選挙に向けた戦いは厳しいものになることが見込まれる。