ロシア軍、ウクライナ国境付近で増強 米がCIA長官派遣して懸念伝える
(CNN) バイデン米大統領がバーンズ米中央情報局(CIA)長官をロシアへ先週前半に派遣し、同国が対ウクライナ国境線近くで進める兵力増強への懸念を伝えると共に、その意図を探らせていたことが7日までにわかった。
米国やウクライナの多数の関係筋が明らかにした。長官はこの軍事的な動きに直接関与しているロシア大統領府の高官らと接触した。
米側はロシア側によるウクライナの北部国境線近くでの兵力や装備品の移動は変則的な対応と警戒しており、今回の長官派遣は事態を重大視しているとの立場を突き付けるのが目的との指摘もある。
バーンズ長官はロシア訪問後、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談でロシアとの緊張緩和を促したとした。米側のこの外交仲介で米国務省の高官もウクライナへ送り込まれたという。
ロシアは今年春にも対ウクライナ国境線付近で兵力増強に踏み切った経緯がある。ただ、不穏な軍事情勢にはつながらなかった。
ウクライナ、ロシアの両国関係は最近、ロシアが仕掛けたと疑うウクライナのエネルギー危機の深まりもあり、さらにこじれる様相となっている。ゼレンスキー大統領の政策顧問はCNNの取材に、兵力増強やエネルギー供給面での威嚇はロシアのより攻撃的な姿勢を物語っているとも主張した。
米国防総省のカービー報道官は5日、対ウクライナ国境線付近でロシア軍が展開している兵力の規模などは「異例」との認識を示した。
ただ、ロシア軍の今回の動きの動機についてバイデン政権内では見方が大きく割れている。関係筋によると、侵攻準備の一環、演習の一部あるいはウクライナへの威嚇の試みとの解釈が混在している。
ウクライナ国防省は表向き、ロシアが国境線近くで通常の規模以上の兵力増強を進めている事態の意味合いを深刻に受けとめない立場を示している。「関連地域での緊張や近隣諸国への政治的圧力を維持するのが目的」ともした。