米共和党知事ら、バイデン政権のワクチン義務化反対で提訴 「人々には自由がある」
(CNN) 米国のバイデン大統領が掲げる民間企業向けの新型コロナウイルスワクチン義務化規定に対して、共和党の州知事らが相次いで訴訟を起こしている。流行の収束を目指す取り組みをめぐり、党派的かつ文化的な分断が浮き彫りになった形だ。
バイデン政権は4日、従業員100人以上の民間企業などに対して従業員の新型コロナウイルスワクチン接種を義務付ける規定を、来年1月4日から導入すると発表した。2020年の初め以降、コロナにより死亡した米国民の数は75万人を超えている。
規定では従業員が自分の意思でワクチンを接種しないことも認めているが、その場合は週1回以上の頻度で検査の陰性証明を雇用主に提示し、職場ではマスクを着用する必要がある。大企業の従業員8400万人が対象になるとみられる。
5日午後までに、26の州が規定に対する訴訟を起こした。これらのうちフロリダ州のデサンティス知事やテキサス州のアボット知事などは、24年の大統領選で共和党の指名獲得を狙う可能性が取り沙汰されている。
デサンティス知事は4日、記者団に対し「とにかく人々はうんざりしていると思う。ことあるごとに居丈高にものを言われ、制限され、義務付けられる。そうした一切に疲れ果てているのではないか」「もうたくさんだ。人々が自分で物事を決められるようにしてほしい」と語った。
サウスダコタ州のノーム知事はツイッターに動画を投稿し、同州も訴訟を起こす意向を表明。「人々には自由があり、自らの健康は個人の責任に帰する」「ここサウスダコタではそうした考えが守られ、擁護される」と強調した。
アボット知事もツイッターで、「この義務化は行き過ぎであり、連邦政府の行政機関による措置としては過去に例を見ない。中止しなくてはならない」と訴えた。テキサス州ではパクストン司法長官も別個の訴訟を起こしている。
連邦議会上院では共和党議員らが、義務化の撤回に向けた取り組みとして、規定に反対する決議案の採決を呼び掛けている。ただ民主党が主導権を握る上院で同案が通るかどうかは不透明だ。
共和党全国委員会は5日、同様に裁判所に対し義務化の差し止めを求めると発表。規定はバイデン政権による「違法な行き過ぎ」だとした。
今回の訴えとは別に、バイデン政権による連邦政府の契約業者を対象とした接種義務付けにもこの数週間で多くの訴訟が提起されている。これらの契約業者の従業員には、ワクチンに代わる陰性証明の選択肢が認められていない。