英、新型コロナの飲み薬を初承認 軽症から中等症の患者が対象
(CNN) 英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は4日、米製薬大手メルクと米リッジバック・バイオセラピューティクスが開発した新型コロナウイルス感染症の経口抗ウイルス薬「モルヌピラビル」を承認したと発表した。対象は重症化リスクのある軽症から中等症の成人患者となる。
新型コロナの抗ウイルス薬で飲むタイプの承認は世界初。薬はカプセルの形で提供される。
両社は米食品医薬品局(FDA)にも緊急使用許可を申請している。FDAは抗菌薬諮問委員会を30日に召集し、重症化リスクの高い、軽症から中等症の成人患者の治療に使えるか討議が行われる。
両社によると、欧州医薬品庁(EMA)は同薬の販売申請に関する審査を開始した。
メルクは先月、モルヌピラビルが入院や死亡のリスクを半減させたとの中間分析の結果を発表。服用後29日までに入院や死亡に至ったのは、モルヌピラビルを投与した患者の7.3%(385人中28人)、偽薬を投与した患者(5万3377人)の14.1%だったとしている。また、モルヌピラビルでは29日までに死亡例はない一方、偽薬では8人が死亡したとも説明した。
こうしたデータは未査読で公開もされていない。ただ、新型コロナに対する容易な治療法となる可能性があり、専門家からは好意的に受け止める発言が出ている。
FDA元長官のスコット・ゴットリーブ氏はCNNの番組で「ウイルスの複製を抑える経口薬は状況を一変させるものになるだろう」と語った。
FDAが新型コロナ感染症治療で認めた抗ウイルス薬には既に「レムデシビル」があるが、静脈への投与が必要なため経口薬ほど手軽ではない。またその評価には種々の結果が出ており、同薬に死亡リスクの減少効果はないようにみられる一方、早期に投与されれば体調の回復を早める効果があるとみられている。
メルクとリッジバックは医薬品特許プールと協力し、低所得国や中所得国105カ国でモルヌピラビルが入手しやすいようにライセンスの合意を発表している。同薬の権利を持つメルクとリッジバック、米エモリー大学は、新型コロナ感染症が世界保健機関(WHO)の定める「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当する間、その販売から特許使用料を受け取らないという。