中国偵察気球の米への飛来は過去にも、トランプ政権時には3度
(CNN) 米国防総省高官は4日、中国の偵察気球がトランプ前政権時代に少なくとも3度、米本土上空を短時間通過したことがあるとの事実を明らかにした。バイデン政権の発足早々にも1回あったとつけ加えた。
これらの飛行時間は今回の騒ぎほど長期ではなかったとも述べた。
トランプ政権時代のエスパー前国防長官はCNNの番組で、国防総省高官の今回の指摘に驚きを表明。在任時代には中国の偵察気球が米本土上空に出現したとの報告を誰かから受けた記憶はないとも述べた。
エスパー氏は2019年7月23日から20年11月9日まで長官を務めた。19年6月24日から同年7月15日までは長官代行となっていた。
一方、米政府当局者は5日までに、中国の偵察気球の米本土上空への飛来に関連しハワイ州や米領グアム島でも近年、同様の事例があったことを認めた。
中国が情報収集の目的で人工衛星ではなく、気球を使った理由については明白となっていない。
スパイ活動のため気球に頼る手法は冷戦時代の初期にさかのぼる。オーストラリア空軍の元将校で同国のグリフィス大学アジア問題研究所のレイトン研究員によると、米国も敵対勢力の動向を調べるため数百機の気球を駆使してもいた。
しかし、衛星運用の技術が進展し宇宙空間からの諜報(ちょうほう)活動が可能になると共に、偵察気球の活用は時代遅れともなった。
その偵察気球が今回、復活した格好ともなった。電子機器の小型化は最近進んでおり、気球がスパイ活動の最新の道具として再生したとも考えられる。
レイトン研究員は、気球が運べる荷物の重さはより軽くなり、気球もより小型となり、飛ばすのも衛星と比べてより安く、より簡単になっていると説明した。
中国の偵察気球の今回の飛行経路を見た場合、軍事面を含め米国の機微に触れる多数の施設の上空を通過した可能性も指摘されている。