銃で身構えるアジア系米国人が増加、コロナ禍の差別などで
この女性は、銃を持つことは有色人種や少数派などの女性が自衛方法を学び、新たな技能を身につけられる機会になるとも強調。州内で起きた2件の銃乱射事件を受け、射撃場で友人と共にアジア系米国人が直面する試練や精神的な疾患の治療を確保する上での障害などの問題について意見交換した。同様に銃の安全な保管方法や操作の訓練なども話し合ったという。
あるアジア系の男性は米テレビ局「ヒストリーチャンネル」のリアリティー番組の射撃競争でプロを負かして10万ドルの賞金を手にし、銃販売業者との契約も勝ち取っていた。個人の銃器保有などの権利を保障する米憲法修正第2条を擁護する活動を展開している。
ただ、公衆衛生の観点から銃による暴力撲滅を目指す米非営利団体「バイオレンス・ポリシー・センター」の責任者は、男性を「良くても大使、最悪なら販売担当員」と酷評。同団体が2021年に出した分析報告書「小火器産業のアジア系米国人への銃の売り込み方」ではこの男性のあり方にも言及していた。
同責任者は、銃器産業界の販売の焦点はこれまで年配の白人の男性だったがその数が減っている現実に直面していると指摘。たばこ産業の教訓を借りれば、代わりとなり得る顧客層を見出せないでいるとの現状に触れた。
新型コロナウイルスが世界的に蔓延(まんえん)した際、銃器産業界はSNS上でヘイトクライム(憎悪犯罪)を止める道のりはより多くの銃保持によるとの宣伝戦を展開した。「アジア系に起きるヘイトクライムを商機と見て、これは利用できると踏んだのだろう」との批判をにじませた。