バイデン氏次男、父親に接近できる「期待感」売り込む 元ビジネスパートナーが証言
(CNN) バイデン米大統領の次男、ハンター・バイデン氏の元ビジネスパートナー、デボン・アーチャー氏が31日、米下院監視小委員会で証言し、ハンター氏について、自身の父親に接近できるという「期待感」を取引相手に売り込んでいたと述べた。非公開で行われた聞き取りの内容に詳しい情報筋1人が明らかにした。共和党が主導する下院はハンター氏について調査しているが、アーチャー氏の証言はその最新の動きとなる。
情報筋が繰り返し述べたところによると、アーチャー氏はバイデン大統領がハンター氏の外国でのビジネス取引に何らかの形で関与していたとするいかなる証拠も示さなかった。
また聞き取り終了後、2人目の情報筋がCNNに明かしたところによれば、アーチャー氏は委員会に対し、ハンター氏がビジネスで売り込んでいたのは自身の父親に接近できるという「期待感」だったことを確認したという。ただその後、接近できる対象はワシントンであり、その活用に関するノウハウだったとの説明を行ったと述べた。
アーチャー氏への聞き取りは共和党議員が質問する形式で実施された。聞き取りに立ち会った民主党のダン・ゴールドマン下院議員は、大統領が息子による外国でのビジネス取引に関与した証拠は出てこなかったと述べた。同議員によるとアーチャー氏は委員会に対し、ハンター氏が大統領にスピーカーホンを通して話をさせた場には複数のビジネスパートナーが同席していたと明らかにした。ただそこでビジネスについて話し合われたことはなかったとしている。
アーチャー氏による証言が実現したことで、下院共和党の焦点はバイデン政権の閣僚を弾劾(だんがい)する試みから離れ、代わりに大統領自身の弾劾に向けた取り組みを優先する形に移行したように見える。具体的には、ハンター氏の携わる物議を醸すビジネス取引にバイデン氏を結びつけることでそれを実現しようとしているようだ。ハンター氏を巡る下院の調査は、ここへ来て注目の話題になるとみられている。
ゴールドマン氏によれば、アーチャー氏の説明では、ハンター氏がビジネスパートナーらのいる席で父親をスピーカーホンに出したのは父と息子の間の「日常会話の一部」だとされた。また会話の内容がいかなるビジネス取引とも無関係だった点について、アーチャー氏は非常に一貫していたという。
下院共和党が大統領と息子によるビジネス取引とをつなぐ書面での証拠を提示できない限り、こうした調査は「完全に時間の無駄だ」と、ゴールドマン氏は指摘した。
一方、監視小委員会の委員長を務める共和党のジェームズ・コマー下院議員は、アーチャー氏の証言によりバイデン氏が息子の外国ビジネスについて関知していたかどうかを巡る疑問が再確認されたとの見解を表明。大統領は以前に関知を否定していたが、それが事実でなかったことも示されたとした。
コマー氏は声明で、「ジョー・バイデン氏は米国の副大統領だった当時、ハンター・バイデン氏が外国のビジネスパートナーと催した夕食会に直接あるいはスピーカーホンを通して20回以上参加した」と指摘。家族のビジネス取引と自身との関与について虚偽の発言をしたと非難した。その上で、委員会は引き続きこの件を調査すると約束した。
ホワイトハウスもアーチャー氏の証言に言及し、バイデン氏がハンター氏らとビジネスについて話し合うのをアーチャー氏が耳にしたことはなかったと断定した。ホワイトハウスの報道官は声明で下院共和党について、大統領に対する攻撃の裏付けとなる強力な証拠を示すといつも約束していながら全く実現出来ていないと批判した。
アーチャー氏はある無関係の詐欺事件で有罪となり、禁錮1年の実刑を言い渡されている。先週末、司法省は判事に対し同氏の収監の予定を決めて刑の執行を開始するよう求める新たな要望を提出した。これを受け一部の共和党議員からは、バイデン政権による働きかけだとの臆測が噴出。アーチャー氏がハンター氏を巡る質問に委員会で回答するのを阻止するための措置だとの見方を示した。
ただ裁判所への提出文書で、政府はアーチャー氏の刑執行について、議会証言の完了後に開始するよう明確に求めている。