マッカーシー米下院議長、バイデン氏の弾劾調査開始を示唆
(CNN) 米連邦議会下院の共和党議員らが、バイデン大統領の弾劾(だんがい)調査の実施に向けた行動に出る可能性が浮上している。共和党のマッカーシー下院議長が26日までに示唆した。同氏による大統領弾劾の威嚇としては、これまでで最も明白な形での言及となる。
FOXニュースの24日の番組に出演したマッカーシー氏は司会者に向け、「自分たちは情報が導くままに進んできただけだ」と説明。「だがここへ来て事態は一段上がり、弾劾調査のレベルに達している。調査は議会に最大の権力をもたらすもので、必要とされる知見や情報を残らず獲得することにつながる」と述べた。
マッカーシー氏のコメントに先立ち、共和党が主導する下院では、一連の議会調査がバイデン氏並びに同氏の政権、家族を標的に実施されていた。最も顕著なのがバイデン氏の次男、ハンター・バイデン氏に関する調査だ。下院の共和党議員らは、トランプ前大統領が任命したデービッド・ワイス連邦検事に対し、内国歳入庁(IRS)の内部告発者2人からの訴えに関する質問に答えるよう要求した。それはハンター氏の刑事捜査中の税務調査が、政治介入により適正に行われなかったという内容だった。ワイス氏とガーランド司法長官はこの主張を否定している。ハンター氏は税金未納の罪2件などについて、司法取引の一環として有罪を認めることで合意している。
事態を受け、ホワイトハウスはバイデン氏の攻撃に熱心な下院の共和党議員らを批判。インフレ抑制や雇用創出など米国民が対策を望んでいる真の問題に向き合う代わりに、「事実を顧みることもなく」バイデン氏を追い込んでいると指摘した。報道官が24日夜、ツイッターに書き込んだ。
マッカーシー氏は25日、CNNの取材に答え、共和党議員らが現時点でバイデン氏に対する最もいかがわしい疑惑については確証を得ていないことを示唆した。具体的にはバイデン氏が副大統領時代、外国籍の人物との贈収賄の陰謀に関与し、ハンター氏のキャリアに恩恵をもたらしたとする疑惑だ。ホワイトハウスは激しい怒りを持ってこの疑惑を否定している。
しかしマッカーシー氏は、弾劾調査を立ち上げれば下院に最大限の権力が与えられ、重大な情報に切り込むことが出来ると指摘した。同様の議論は2019年、下院民主党が当時のトランプ大統領を弾劾訴追した際にも展開したものだ。
真実へ到達するために議会が出来るのは弾劾調査に踏み切ることしかないと、マッカーシー氏は主張したが、現時点でそうした調査の開始に向けた公の行動を起こすには至っていない。
同氏によるバイデン氏への弾劾についての発言は、保守強硬派からの圧力が強まる中で飛び出したもの。保守強硬派はマッカーシー氏に対し、バイデン氏とその政権を調査するよう求めている。
下院共和党はこのほか、ガーランド司法長官やマヨルカス国土安全保障長官に対する弾劾調査の可能性にも言及している。