イスラエル、米国製兵器を国際法に「沿わない」形で使用 米政権報告書
(CNN) バイデン米政権は10日、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエル軍の行動について、国際人道法に「沿わない」形で米国の兵器を使用したと評価するのが妥当との認識を示した。ただ、イスラエルの国際人道法違反を正式に認定するのは控えた。
国務省が起草した報告書によると、違反の可能性を巡る調査が続いているものの、米国は自国の兵器が国際人道法に違反して「具体的に使用された」かどうかを「検証する完全な情報」は持ち合わせていないという。
報告書では「ガザ紛争の性質、つまりイスラム組織ハマスが民間人やインフラを隠れみのにしてイスラエルの攻撃にさらそうと試みている状況や、ガザの現地にいる米国政府の人員が足りない点を踏まえると、個々の事例について評価したり、決定的な調査結果を引き出したりするのは難しい」と説明。「ただ、米国製防衛品に対するイスラエルの依存度の高さを考慮すると、国家安全保障覚書(NSM)20の対象となる防衛品が、国際人道法上の義務や、民間人被害軽減のために確立された最善の方法に沿わない形で使用されたと評価するのが妥当だ」と指摘した。
今回の報告書は、昨年10月7日の戦闘発生時から4月下旬までの時期を対象としている。イスラエルが米国法に違反する形でガザへの人道支援を拒んだと認定することは控えた。
報告書は同覚書のどちらの点についてもイスラエルの違反を認定しなかったものの、イスラエルの軍事作戦による被害については強く批判した。バイデン大統領は今週、イスラエルがガザ地区南部ラファへ大規模攻勢を仕掛ければ兵器供与を制限すると示唆しており、米国とイスラエルの関係が緊張するのは週2度目となった。
今回の重要報告書は10日午後に機密解除され、連邦議会に送付された。バイデン政権は上記の2点について、今年2月に出された国防安全保障覚書に基づき判断する必要に迫られていた。米政権が7カ月に及ぶガザ地区での戦闘に関して評価を下すのは初めて。昨年10月7日のテロ攻撃を発端とする戦闘では3万4000人以上が死亡し、ガザ地区の大部分が破壊された。