イスラエル、兵器供給停止を示唆したバイデン氏発言に反発 当局者の内紛も
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファに対する全面侵攻が実施された場合、一部の米国製兵器の供給を停止すると示唆したバイデン米大統領の発言に対し、イスラエル当局者から非難の声が上がっている。当局者間の内紛も起きている。
イスラエルのエルダン駐米大使はバイデン氏とCNNのインタビュー後、供給停止の判断について「イスラエル国家と国民の敵を助長する可能性がある」との見方を表明。ネタニヤフ首相も「単独で立ち向かざるを得ないのであれば、イスラエルはそうする」と述べた数日前の演説の動画を投稿した。
ネタニヤフ氏は独立記念日を控えた9日にも同様の認識を示し、「76年前の独立戦争では我々は多勢に無勢だった。我々は兵器を持っておらず、イスラエルに対する兵器禁輸も講じられていたが、精神と勇気、団結の偉大な力で勝利した」と述べた。
米国製兵器の供与をイスラエルの行動次第とする意向を示したバイデン氏の発言は、7カ月に及ぶイスラエルとイスラム組織ハマスの紛争の転換点となる。バイデン氏はガザ民間人の殺害に米国の爆弾が使用されていることを認め、紛争への米国の関与を浮き彫りにした。
ガザでの人道危機を背景に、バイデン氏は民主党内も含めた各所から兵器輸送の制限を求める圧力にさらされている。
CNNに対するバイデン氏の発言はイスラエルの戦闘にとって大きな後退となる。米国はイスラエルの最重要かつ最強の同盟国であり、米国の支援なしではガザにおけるイスラエルの火力も野心も減退するとみられる。
バイデン政権はここ数カ月、イスラエルにガザ民間人の保護強化と人道支援物資の搬入量の増加を要請してきた。
米国はまた、ネタニヤフ氏や同氏の政権に対し、ラファ全面侵攻の計画を見直すよう繰り返し要請。ラファにはガザ地区内の戦闘から逃れてきた人が100万人あまり身を寄せている。
イスラエルはこれまでにラファ周辺で限定的な作戦を実施し、ガザ地区への入り口として重要なラファ検問所のパレスチナ側を制圧した。ラファ周辺への軍事攻撃も実施している。
バイデン氏の発言はイスラエルの様々な政党の間の亀裂も浮き彫りにした。
イスラエルの極右ベングビール国家安全保障相はX(旧ツイッター)でバイデン氏を批判し、ハマスとバイデン氏は相思相愛だと指摘した。この投稿に対してイスラエルのヘルツォグ大統領から反応があり、「無根拠で無責任、侮辱的な発言やツイート」は慎むよう警告した。