香港が「金融犯罪の中心地」に、米議員が警鐘 ビジネス関係の再評価求める
香港(CNN) 超党派の米議員が香港についてマネーロンダリング(資金洗浄)と制裁回避の中心地となっていると警告していることが分かった。議員は香港と米国の緊密なビジネス関係の再評価を求めている。香港では中国政府による締め付けが強まっている。
下院の中国特別委員会の超党派指導者は25日、イエレン財務長官に宛てた書簡で、米政府による香港の金融分野への監視強化を要求した。米大手銀行の多くが拠点を置く香港にとって金融分野は国内総生産(GDP)の5分の1を稼ぐ、経済の柱だ。
書簡は、香港が違法慣な慣行の「世界的リーダー」になっていると指摘。これには輸出規制の対象となっている西側技術のロシアへの輸出、イラン原油購入のためのフロント企業の設立、北朝鮮との違法貿易に従事する「幽霊船」の管理などが含まれるという。
議員は、2020年に中国政府が国家安全維持法(国安法)を制定して以来、「香港は信頼される世界の金融センターから、中国やイラン、ロシア、北朝鮮の深化する権威主義枢軸における重要なプレーヤーへと移行した」と述べた。
議員は、長年にわたる米国の香港での特に金融・銀行分野に対する政策が適切かどうかを問う必要があるとしている。
トランプ大統領(当時)は20年、国安法を成立させた中国政府に制裁を科すため、1992年から続いた米国法の下で香港が長年享受してきた優遇措置を取り消した。この大統領令は、香港に対する中国本土とは個別の関税措置を事実上終了させた。
それ以来、香港を拠点とする数十社の企業は米国の制裁を受けてきた。半導体など軍民両用(デュアルユース)製品の供給など、ロシアのウクライナ侵攻に応じて課せられた広範な措置を回避したという理由からだ。
香港当局はこれまで、他国が課した一方的な制裁を履行する義務はないと述べてきた。例えば米国や欧州連合(EU)、英国による制裁の対象となったロシアの新興財閥(オリガルヒ)とつながりのある巨大ヨットが22年10月に香港に寄港したときなどだ。
委員会の書簡は今年発表された調査結果を引用している。この調査によると、23年8月から12月の間に香港からロシアに輸送された商品の40%近くが優先度の高い品目、つまりロシアのミサイルや航空機などの軍需製品の生産を後押しする可能性が高いものに該当する。
議員は財務省当局者に対し、米国の銀行と香港の銀行との関係の現状、香港の地位と姿勢の変化を考慮して米国の政策がどのように変化したか、そして財務省がこうしたリスクに対処するために実施予定の措置について委員会に説明するよう求めている。
この動きは、トランプ氏が、国務長官に指名したマルコ・ルビオ上院議員を含む対中強硬派の閣僚を率いてホワイトハウスに復帰する準備を整えている中で起きている。