広島の原爆跡地 外国人の訪問増
カナダから来た英国人のブルース・ボトムリーさん(45)は、「最も強烈な印象を受けたのは、投下時刻で止まった時計だった」「幼い子どもが持っていたご飯が入ったままの弁当箱には言葉が出なかった」「生存者の証言や写真は衝撃的だった」と感想を語る。
長崎で英語を教える米国人のエバン・ヘイデンさん(34)は、高校生だった1998年に初来日して広島を訪れ、同級生たちと一緒に平和記念公園と平和記念資料館を見学した。「それで原爆の現実感が強まった。教科書で読んだりテレビで見たりしているだけでは抽象的で遠くのこととしか思えなかった」と振り返る。
米国が広島と長崎に原爆を落とすべきだったどうかを巡っては、今も論議が続いている。ヘイデンさんは言う。「日本が爆撃されたという事実にはもちろん反対だ。ただ、戦争は悪い方向に向かうばかりで、日本も米国も後退しようとしなかった」。観光で訪れることについては、「(平和記念資料館は)休暇を楽しめる場所ではない。しかし大切な経験として多くのことを学べる」と語った。
日本政府観光局は広島の原爆跡地を、「人類が犯した過ちを物語る負の遺産」と形容している。