復興の道遠く――ISISから奪還されたクルド人の街
(CNN) 昨年イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に一部掌握されたものの、今年1月にクルド人部隊が奪還したシリア北部の要衝アインアルアラブ(クルド名コバニ)では、激しい戦闘で壊滅状態となった街の復興に向けた努力が始まっている。
アインアルアラブはトルコ国境に近いクルド人の街。ISISの攻撃と米主導の有志連合による空爆が繰り返され、完全に破壊された地域もある。
ブラジル人写真家のガブリエル・シャイム氏が無人機を使って撮影した映像には、無残な街の姿が映っていた。
クルド人勢力の報道官が電話インタビューで語ったところによると、同市は70%が壊滅状態。「問題はがれきを取り除くための重機や再建工事の資材がないことだ。復興には巨額の費用がかかる」と、同報道官は訴える。
一方で避難していた住民らの帰還が加速し、近郊を含めた人口は6万人まで回復した。すでにパン店と病院それぞれ1カ所と、学校2校が再開したという。
ただしトルコ国境の主要ゲートは依然として閉鎖され、物資の流れが滞っている。市の東側や南東側はISISがわずか40キロの地域で支配を維持しているため、北側ゲートの開放は死活問題だ。だがトルコはISIS掃討を目指す一方でクルド人武装勢力とも対立関係にあることから、難しい対応を迫られている。