「ISISはアサド政権を放置した結果」 トルコ首相
ダウトオール首相が描くのは、シリアの穏健派反政府勢力が安全地帯を掌握して避難民を受け入れ、ここを拠点としてアサド政権打倒とISIS撃退を目指すというシナリオだ。その場合は「国際部隊がアサド政権と直接戦う必要はないかもしれない」とも語り、シリア穏健派への支援強化を訴えた。
トルコ軍は先週、イラク北部でもISISの拠点を空爆。同時にトルコからの分離独立を掲げるクルド人組織「クルディスタン労働者党」(PKK)の拠点も攻撃した。イラクやシリアではクルド人勢力がISISとの戦闘に大きな役割を果たしているだけに、トルコがISISとPKKの両方を標的とする「二正面作戦」を開始したことに対しては疑問の声もあがっている。
二正面作戦の背景には、国内の政情という要因も働いているようだ。ダウトオール首相が率いる与党・公正発展党(AKP)は先月の総選挙でPKKとつながりのあるクルド政党、人民民主主義党(HDP)に躍進を許し、過半数を割る結果となった。HDPの幹部はPKKへの攻撃について、対ゲリラの安全保障対策ではなく、次期選挙での支持獲得を狙った動きだとの見方を示した。