「いけにえ」に少年を殺害、11人逮捕 ネパール
(CNN) ネパール南西部のインド国境に近いナワルパラシ郡で先週、10歳の少年が村人たちに殺害された。地元警察によると、村人の1人は病気の息子を助けるため、呪術師の言葉に従って少年を「いけにえ」にしたと自供している。
少年は21日から行方不明となり、24日に村の近くで遺体が発見された。
地元警察責任者によると、主犯格の男は調べに対し、呪術師の助言を受けて親族とともに少年を殺害したことを認めた。
殺害に関与したとして呪術師を含む11人が逮捕され、このうち少なくとも5人が犯行に加わったことを認めている。実行犯は終身刑となる可能性がある。
容疑者らの供述によると、この男と親族らは村で友人たちと遊んでいる少年を発見。ビスケットを与え、50ルピー(約60円)を渡すと約束して誘い出した。
近くの寺院で儀式を行った後、少年を野原へ連れて行った。3人が体を押さえ付け、もう1人がのどの部分を刃物で切った。警察が見つけた遺体は、首がほとんど切断されていたという。
ネパールでは5年に1度開かれる「カディマイ祭り」の繁栄祈願で多数の動物が虐殺されるなど、いけにえの風習が根強く残っている。
ナワルパラシ郡の住民の一部は、ヒンズー教の身分制度「カースト」で最下位とされる最貧層に属している。殺害された少年も容疑者らもこの層の出身だ。
郡長官は少年の殺害について「不幸な出来事だ」と述べ、迷信を断ち切るために行政レベルで啓蒙(けいもう)運動を始めると表明した。