ギリシャ、トルコへの難民送還を開始
(CNN) ギリシャ当局は4日、自国に流入した移民・難民をトルコへ送り返す措置に着手した。欧州連合(EU)とトルコが先月結んだ合意に基づく送還の第1陣として、船に乗った数百人がギリシャのレスボス島を後にした。
4日早朝にトルコのディキリへ向けて出港したフェリーは計3隻。国連の当局者によると、送還に当たっては1隻につき125人が乗船する予定だという。送還される移民・難民の国籍などは明かされていない。CNNが取材したところ乗船者は男性のみで、女性や子どもの姿は見られなかった。
レスボス島の港では、送還に反対する人々がゲートの外から抗議の声を上げた。現場には警官が配備されたが、フェリーが出港するまでの間、トラブルなどは起こらなかった。
現在シリア内戦などを逃れて欧州に流入した移民・難民の数は100万人を突破し、第2次世界大戦以後で最大の規模に膨れ上がっている。この急増に歯止めをかけるべく、EUとトルコは、先月20日以降ギリシャに海路で不法入国した移民・難民をトルコへ送り返すことで合意。一方でトルコに再定住した難民については、欧州側が受け入れるとした。
今回の対応策が功を奏すかどうかは現時点で不透明だ。ギリシャ経由の欧州入りが不可能になれば、移民らはルートを変更し、イタリアなどギリシャの西に位置する国への上陸を図る可能性がある。
また国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、今月1日に発表した報告書で、トルコが国内の移民・難民をシリアへ強制送還していると指摘。「トルコはシリア難民にとって安全な国ではない。国境を閉ざしたいEU首脳は、この事実をあえて無視している」と両者の合意を非難した。