中国で米製品の不買運動 南シナ海の仲裁判決受け
フィリピンを狙った動きも出ており、中国最大のショッピングサイト「淘宝(タオバオ)」ではフィリピン産の果物の代わりに地元で栽培した乾燥マンゴーの売り込みを図る業者が現れた。ある業者は「自国産の乾燥マンゴーだけを売る。南シナ海を守る」と書き込んだ。
ただ、中国政府はここに来てこれら抗議運動の収束を図る動きを見せ始めている。2012年に日本との領土論争が起き、国内で大規模な反日集会などが広がった際に中国政府が封じ込めを図った際の状況に類似している。
人民日報は20日の論説で、国家発展を助長する行動はまさしく愛国的と呼べようが、意図的に公共治安を犠牲にするいわゆる愛国主義は国家と社会に支障だけを与えると主張。国営の新華社通信は、全て合理的な行動を選ぶ現実的かつ効果的な愛国主義だけが意味をなすなどと論評した。
専門家は12日の仲裁判決は中国人に愛国心の高揚をもたらしたと見ている。シンガポール国立大学の法学部教授は「(判決を受け)実際、中国人の穏健派がたちどころにタカ派に転じた」と指摘した。
ただ、中国のソーシャルメディア上にはタカ派的な行動にくみしない主張もある。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」のある利用者は「中国人だが不買運動は馬鹿げている。不買運動の参加者をボイコットする」との意見を寄せた。