ロシア、安保理決議案に拒否権 シリアの化学兵器使用非難で
ニューヨーク(CNN) 国連安全保障理事会は12日、シリアにおける化学兵器使用を非難する決議案の採決を行ったが、ロシアが拒否権を行使したため決議案は否決された。
決議案ではサリンと見られる化学兵器の使用を非難するとともに、シリア政府に対し現地での国際調査に協力するよう求めていた。
シリア内戦が始まって以降、シリア問題でロシアが拒否権を行使するのはこれで8回目だ。
ヘイリー米国連大使は安保理で「拒否権の行使により、ロシアは説明責任や国連による調査、シリアにおける平和維持への協力を拒否するとともに、シリアのアサド大統領の側に付くことを選んだ。それ以外の世界、アラブ世界でさえ、残忍な同政権を非難することで一致しているにもかかわらずだ」と述べた。
これまでロシアと足並みをそろえてシリア問題で何度も拒否権を行使してきた中国は、今回は棄権に回った。これについてトランプ米大統領は記者会見で歓迎の意を表した。
決議案を主導した米英仏は結論を急ぎすぎているというのがロシアの主張だった。サフロンコフ露国連次席大使は安保理で「主な問題点は、3カ国による決議案が、独立した客観的な調査の前に罪人を名指ししていることだ」と述べた。
一方シリアのジャファリ国連大使は「本日の決議案を慎重に読めば、本当の目的は真実の解明ではなく、シリアの主権の侵害であることは誰でも分かるはずだ」と述べた。
もしこの決議案が可決されていたら、シリア政府は国際調査団による空軍ヘリコプターの操縦士らの聞き取り調査や、飛行記録の提出を認めなければならなかった。