サウジ前国王の息子釈放 「反汚職」施策で拘束
アラブ首長国連邦・アブダビ(CNN) 大規模な「反汚職」施策の一環として3週間前に拘束されていたサウジアラビアのミテブ王子が釈放されたことが30日までに分かった。サウジ政府に近い情報筋がCNNに明かした。
同情報筋によれば、王子の釈放と引き換えに金銭的解決を図ることで合意が成立した。解決金の詳細は非公表だという。
サウジでは4日、高位の王子や大物実業家ら約200人が拘束されていた。ミテブ王子はこの後に釈放された拘束者の中では最も高名な人物となっている。
ミテブ王子は現在のサルマン国王の先代、故アブドラ前国王の息子。サルマン国王の勅令により解任されるまでは同国の精鋭部隊、国家警備隊のトップを務めていた。
サウジ司法長官は反汚職容疑での一連の逮捕の後、「数十年にわたる組織的な汚職や横領を通じ、少なくとも1000億ドル(約11兆円)が不正流用された」ことが捜査で判明したと発表した。
ただミテブ王子は、ムハンマド皇太子が破竹の昇進を遂げる上での妨げとも見なされてきた。今回の一斉逮捕はムハンマド皇太子が主導。国家警備隊は国防相を兼任するムハンマド皇太子の管轄下に入っていない最後の治安部門だったことから、一連の逮捕は同皇太子の権力掌握を強化するために行われたのではないかとの臆測に拍車がかかっていた。
ミテブ王子は一時、父親のアブドラ前国王が権力の座にあった際は王位継承の有力候補と見なされていた。