北朝鮮の「見えない漁船」、昨年は激減 食料不足に拍車か
(CNN) 位置情報を発信せず「ダーク・フリート(見えない船団)」と呼ばれる北朝鮮のイカ釣り漁船。その操業が2020年に激減したことが、新たなデータから明らかになった。ただでさえ危険水準にある北朝鮮の食料不足に拍車がかかっている可能性が高い。
非営利団体グローバル・フィッシング・ウォッチ(GFW)の調査によると、北朝鮮船がロシアの領海でイカ釣り漁を行った日数の総計は95%減少し、前年の計14万6800日から6600日になった。北朝鮮領海でのイカ釣り漁も大幅に減ったという。
北朝鮮の漁船は位置情報を発信したり、公的な監視システムに登場したりしないことから「見えない船団」と呼ばれ、国際的な海事規則に違反しているケースが多い。日本の沿岸部には近年、こうした長距離航行に適さない粗末な船が相次ぎ漂着しており、船員の遺体が見つかる場合もある。
GFWは衛星画像などの監視技術を駆使し、昨年5月から11月にかけてイカ釣り漁船の数を追跡した。イカ釣り漁は通常、夜間に強力な照明器具を使って行われるため、遠方からでも追跡しやすい。
イカは北東アジア全域で人気の食材で、近年の需要増が個体数減少に追い打ちをかけ、持続可能性が脅かされる状況になっているという。北朝鮮では発酵や酢漬け、丸焼き、炒めもの、乾燥などの調理法でイカを食べる。
GFWの上級データサイエンティストは前例のない漁船減少の理由について、金正恩(キムジョンウン)総書記が新型コロナウイルスの流入防止を目的に厳格な出入国管理を敷いたためとみられると分析している。