パレスチナ、イスラエル提供のワクチン拒否
エルサレム(CNN) パレスチナ自治政府は20日までに、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸やガザ地区へ新型コロナウイルスワクチンの少なくとも100万回分を差し向けるとするイスラエルとの合意事項を取り消すと発表した。
パレスチナ通信(WAFA)によると、西岸地区ラマラの自治政府当局者が18日午後に到着した約9万回分を調査。自治政府のマイ・カイラ保健相によると、合意事項にあった技術仕様に合致せず、使用期限切れが差し迫っていたこともわかったという。
イスラエルが提供したのは米製薬大手ファイザーと独バイオ企業ビオンテックが共同開発したワクチンで、イスラエルにとっては余剰分となっていた。
イスラエルのメディアによると、提供に関する交渉はネタニヤフ前政権時代に始まり、イスラエル政府が18日朝に合意を発表していた。
同国政府は声明で、これらワクチンの使用期限は迫っているとしたが、パレスチナ自治政府が使い切るまでどれほどの時間的な余裕があるのかは不明だった。
ロイター通信によると、同保健相はイスラエル側は自治政府に使用期限は7月あるいは8月と説明していたと指摘。しかし、実際の期限は6月だったことが判明したという。
イスラエルと自治政府との間では、少なくとも100万回分を自治政府に差し向ける代わりに自治政府が今年後半にファイザーから受け取る予定のワクチンをイスラエルへ回すことでも合意していた。
自治政府は合意取り消しを受け、ファイザー社に当初の契約に従った量を迅速に届けるよう促している。
自治政府によると、西岸地区やガザ地区のパレスチナ人住民約45万人がこれまでワクチン接種を受け、2回分を済ませたのは27万人をわずかに超える水準となっている。両地区の住民総数は450万〜500万人。