墓標のない墓160以上発見、先住民寄宿学校の跡地 カナダ西部
(CNN) カナダ西部ブリティッシュコロンビア州に暮らす先住民、ペンラカット族は14日までに、同州サザンガルフ諸島で「登録されておらず墓標もない」墓160基以上が見つかったと発表した。現地ではかつて先住民のための寄宿学校が運営されていた。
カナダではブリティッシュコロンビア州のほか中部サスカチュワン州でも同様の墓の発見が相次ぐ。現在、地中探知レーダーなども使用しながら先住民寄宿学校の跡地を対象にした全国規模の調査が数十件実施されている。
ペンラカット族は声明で、過去にジェノサイド(集団殺害)が行われたとの見方を示唆。それによってもたらされる心の傷と向き合わなくてはならないと強調した。
ペンラカット族は声明の内容についてCNNに確認したが、コメントの要求には応じていない。声明は近隣地域に暮らすカウチン族が自分たちのフェイスブックページに投稿した。
1997年に連邦政府の出資で制作され、動画配信サイトのユーチューブにも投稿されているドキュメンタリー番組では、当該の寄宿学校で暮らした経験を持つ生存者が、同校を米サンフランシスコ湾のアルカトラズ刑務所になぞらえている。
証言によれば当時、島にある寄宿学校から逃げ出そうと海に入って死亡する子どもたちもいた。校内での虐待から逃れようとしての行動だったという。
ペンラカット族の声明は、今回の墓の発見に地中探知レーダーが使用されたのかどうか明らかにしていない。墓に子どもや大人の遺体が埋葬されていたのかどうかについても言及はない。
ただ、部族内の多くの少年少女が、近接するこの寄宿学校に入っていたのを把握していると述べている。
ペンラカット族は周辺の部族などに向けて、今後数週間内に「癒やしのための催し」や「失われた」子どもたちのための行進を行うと発表した。当該の学校は19世紀後半から運営しており、1975年に閉鎖された。
カナダ政府はより多くの資金を投じ、墓標のない墓の調査を全国規模で行うとしているが、対応の遅れを批判する声にもさらされている。
過去の先住民に対する扱いの実態を究明する目的で政府が立ち上げた「真実和解委員会」は2015年の報告の中で、4000人を超える先住民の子どもたちが寄宿学校内での放置や虐待のため死亡したと指摘していた。