モリソン豪首相、「感染ゼロ戦略」の終了を示唆
(CNN) オーストラリアのモリソン首相は22日、同国で実施している新型コロナウイルスの感染をゼロに抑え込もうとする戦略について終了する可能性を示唆した。ただし、規制の緩和に伴い感染件数が増加するとも警告した。
オーストラリアでは最大都市シドニーで過去24時間に新型コロナウイルスの感染が830件確認された。6月下旬から厳格なロックダウン(都市封鎖)を実施しているものの、830件という感染件数は1日の数字としては過去最多となった。
オーストラリアは中国やニュージーランドと並んで国内での新型コロナウイルスの完全な抑え込みを目指しており、最近まではこの戦略はおおむね成功していた。オーストラリアで確認された新型コロナウイルスは4万4026件にとどまっており、死者は981人となっている。
しかし、シドニーやメルボルン、首都キャンベラといった複数の大都市でロックダウンが敷かれ、当局はデルタ株の流行を抑制しようと取り組んでいる。
21日にはシドニーやメルボルンで長引くロックダウンに対する抗議デモが行われ数千人が参加した。
モリソン首相は地元メディアへの意見記事で、新型コロナウイルスの抑止に向けた厳しい措置が「重荷」となり、市民や経済界を苦しめているのは理解しているとしたが、これは「夜明けの前の最も暗い時期」との見方も示した。
モリソン首相は、豪政府が感染件数の抑制から、新型コロナウイルスによって重症化した人数や入院が必要な人数の調査へと軸足を移すことを考えていると明らかにした。
モリソン首相は方針転換の時期の詳しい予定は明らかにしなかったが、国内のワクチン接種率が70~80%に到達したら規制の緩和を開始できるとの見通しを示した。