タリバンが妊娠中の女性警官を「家族の前で殺害」 息子が訴え
(CNN) アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンが4日夜、妊娠中の女性警官を家族の目の前で殺害したと、女性の息子が訴えていることが分かった。タリバン統治下での女性の抑圧に関する懸念が一段と高まっている。
現場は中部ゴール州で、現地のジャーナリストも女性の殺害についてCNNに確認した。このジャーナリストによると、女性は同州の刑務所で働いていて、死亡時は妊娠8カ月だったという。
女性の姉妹はCNNに、女性の名前はネガル・マスーミさんだと語った。
タリバンはCNNに対し、自分たちは女性の死に関与していないものの、調査を開始したと述べた。
CNNが入手した動画には、息子のモハマド・ハニフさんが事件について証言する様子が映っている。タリバンは一家の住む家に立ち入り、ハニフさんやその兄弟を屋外に連れ出して、体を縛り上げたという。
ハニフさんは「タリバンは私たちの目の前で、刃物を使って母親を殺害した」と話している。
マスーミさんは妊娠中だったことから、タリバンは2人を殺害したことになるとハニフさんは述べ、実行犯を見つけ出して裁判にかけるよう政府に要求。何も対応がなされない場合、私的制裁に訴えざるを得ない可能性があると警告した。
タリバンのビラル・カリミ報道官はこうした主張を否定し、「女性はイスラム首長国の聖戦士によって殺害された訳ではない。おそらく個人的な恨みが原因だろうが、調査の最終結果はまだ出ていない」としている。
タリバン指導部はこれまで、女性は今後のアフガン社会で重要な役割を果たし、教育の機会も与えられると公言してきた。
ただ、ここ数週間は女性は家にいるべきだとの考えを示唆しているほか、戦闘員が女性に職場を離れるよう命じた例もあり、女性が公の場からほぼ姿を消した20年前の過酷な政策への逆戻りを懸念する声が高まっている。