市民からの怒りが募る中、自治体は住民に安定した食料品の供給を行うと約束し、国営メディアは住宅街に届く食料の映像を伝えている。一部地域では不足が解消されたものの、自分の地域では食料が来ないと訴える住民もいる。
さらに、ロックダウンを強制するために一部地域でとられた強硬措置に、さらなる怒りの声が高まっている。
12月31日、ある男性が住宅地のゲートで新型コロナ予防を任務とする職員に殴打される事件があった。この男性は蒸しパンを入れた袋を持っていて、つまづくと蒸しパンが散乱し、その様子を撮影した動画がネットで広まった。警察は高まる非難を受けて、暴力を振るった2人に7日間の拘束の罰と200人民元(約3600円)の罰金を科した。
また、市民の中にはロックダウンの代償が高すぎると感じて脱出を試みた人々もいる。先週国営メディアは封鎖が始まる前に西安を抜け出した2つの事件を報じた。
ある男性は西安の空港から秦嶺山脈の山中を複数の村の検問所を避けながら100キロも歩いた。寧陝県警察によると、8日後の24日に見つかり、隔離措置に入った。
別の男性は西安が翌日から封鎖されると知り、故郷に帰るために氷点下近い夜間を10時間自転車で走った。淳化県警察によると男性は隔離され、200人民元の罰金を科された。
こうしたさまざまな問題に直面しつつも、西安当局は感染封じ込めに向けた決意を表明している。
西安を省都とする陝西省の共産党トップは2日の記者会見で、「我々の精神を高揚させ、100%の予防、制御、隔離を実施する意識を確固たるものにし、都市部での流行の予防と制御を優先し、可能な限り市中の感染例をゼロにする目標を達成する」と誓った。
そうした決意の表れとして、感染が最も多かった地区の一つ、西安市雁塔区の党幹部が解任された。同国では封じ込めに失敗した数多くの地元当局者が解任されている。
こうした厳しいロックダウンは機能しているように見える。2日時点で西安の感染数は122件となり約1週間ぶりとなるレベルに落ち、翌3日には90件へと減った。
この傾向が続けば、西安が過去の他の都市と同様に封じ込めに成功するのも数週間以内の問題となるだろう。ただ、今回の封鎖がコロナ流行により日常生活や経済が混乱する最後の機会となるわけではない。
今のところ、中国が――たとえ市民の我慢を限界へと押しやっても――達成しようと決意しているように見えるのはゼロコロナの目標だ。