世界の穀物市場に安定化の兆し、ウクライナの輸出再開で 国連事務総長
(CNN) 国連のグテーレス事務総長は20日までに、ウクライナ黒海沿岸の港湾を通じた穀物輸出の合意成立を受け、世界各地の食料市場が安定化し始めている兆候があるとの見方を示した。
訪問先のウクライナでゼレンスキー同国大統領と会談後、述べた。事務総長室が発表した発言内容によると、グテーレス氏は「この段階でウクライナの農家が手掛けた穀物やほかの食料56万立方トン以上が世界各地の市場へ向かっている」と指摘。
小麦価格は合意への署名後、最大で8%安くなり、国連食糧農業機関(FAO)の食料価格指数は7月に9%落ち込み、2008年以降では最大の下落幅を記録したと述べた。
ただ、サプライチェーン(供給網)は依然正常化しておらず、エネルギー価格や輸送費は高い水準にあるとも警告。米を含む農作物の来期の収穫を脅かしている世界の肥料市場での混乱を収拾させる支援が重要であると説いた。
ウクライナとロシアの関係閣僚や仲介役となった国連、トルコの代表は先月22日、トルコ・イスタンブールでウクライナ黒海沿岸の港湾封鎖の解除に関する合意に署名していた。
一方、トルコ国防省によると、ウクライナの港湾から船積みされた穀物は8月1日以降、62万2000トンに達した。18日時点での発表で、穀物輸送に動員された船舶は17日間で計43隻とした。
同省は声明で、ウクライナの港湾へ出入りする全ての船舶がトルコ・イスタンブールの北部海域で包括的な検査を受けているとした。