「コロナ死」の定義とは? 中国が集計方法を変更、火葬場は大行列

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変異株の流行を受け、中国保健当局はコロナによる死者の集計方法を変更している/Reuters

変異株の流行を受け、中国保健当局はコロナによる死者の集計方法を変更している/Reuters

北京市内にあるコロナ患者の指定病院には、CNNが取材した20日、車いすの高齢患者がひっきりなしに訪れていた。病院前にいた男性は、スペースが足りなくなっていて、高齢の家族のベッドを確保するために前の晩に登録に出かけなければならなかったと話した。

防護服姿で医療廃棄物の黄色い袋を整理していた男性は、コロナ患者の急増に対応するため時間外労働をしていると言い、「特に高齢者が多い」と説明。毎日のように基礎疾患のある高齢のコロナ患者が死亡しているとした。

コロナ患者の死亡を少なく見せかけているのではないかという疑念が強まったことを受け、中国政府は死者の集計方法を変更したことを明らかにして、公式集計の正確性を強調した。

感染症の専門医、王貴強氏の20日の記者会見によると、中国国家衛生健康委員会の最新ガイドラインでは、新型コロナによる死亡とみなされるのは、同ウイルスに感染した患者が肺炎や呼吸器不全で死亡した場合のみと規定された。

心臓発作など別の疾患や基礎疾患による死亡とみなされた場合は、たとえ死亡時に新型コロナに感染していたとしても、新型コロナによる死者としては集計されない。

この集計方法について世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は21日、「かなり狭い」と指摘し、「新型コロナによる死者は、重い感染症のため、多くの違う(臓器)不全で死亡する」「新型コロナによる死者を陽性者で呼吸器不全を起こした患者のみに限定すれば、コロナに関する真の死者数を大幅に少なく見積もることになる」とした。

王氏によると、ほとんどの患者が肺炎や呼吸器不全で死亡していた当初の武漢株に比べると、オミクロン株の症状が軽いことから集計方法の変更が必要になった。

香港大学の専門家によれば、集計範囲は今年4月に広げられ、基礎疾患で死亡した患者も含めるようになった。これは上海の封鎖措置をめぐって厳格な規制を正当化する目的だったとされる。

上海で新型コロナが流行した3月~5月にかけ、市当局が報告した死者は、感染者60万人中、588人だった。しかし上海の封鎖措置が解除されると、続く6カ月間は全土の感染者数が数十万人規模に達しているにもかかわらず、死者は0のままだった。続く11月下旬、北京市はコロナに感染した80代の3人が基礎疾患のため死亡したと発表。市は当時、感染が拡大する中で独自の規制を強化していた。

一貫性を欠くこうした集計方法は、死者数の集計が「完全な主観」だったことを物語ると専門家は言う。

新型コロナによる死亡と、新型コロナ感染者の死亡は、最初から世界で論議が分かれるテーマだった。

米国を含むほとんどの国は、新型コロナによる死亡かどうかを個々に見極めるのは難しいとの判断から、コロナ感染者の死亡を公式の死者数として集計している。

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