銀行強盗の発生件数、昨年はゼロを記録 デンマーク
ロンドン(CNN) 北欧デンマークで銀行強盗の発生件数が昨年、ゼロを記録したことが5日までにわかった。
警備対策の強化や現金の利用減少が背景にある。金融業界の組織「ファイナンス・デンマーク」によると、2021年に起きた銀行強盗は1件だった。
同国では00年以降、銀行への押し込みは一貫して減少基調にあった。同年は計221件で、営業日にはほぼ毎日1件が起きる割合ともなっていた。同団体幹部によると、カメラでの監視強化、警報システムの改善や警察との協力態勢の拡充が功を奏した結果ともなっていた。
また、顧客に対応する出納担当者の大幅な削減も一因となった。CNNの取材に応じた同幹部によると、国内にある約800ある銀行支店のうち預金や引き出し業務に携わる職員を依然配置しているのはわずか約20店だという。大半の客は国内に約2000台あるATMを利用しているとした。
昨年の銀行強盗が皆無だったことを最初に報じた米ブルームバーグ通信によると、デンマークではカード利用などのキャッシュレス化が急増しており、出回っている現金の量も減少。同国の中央銀行のデータを引用し、現金の引き出し件数は過去6年の間、約75%落ち込んだと伝えた。
ただ、ファイナンス・デンマークの幹部は、デンマークではオンライン銀行に関係する詐欺事件が拡大しているとも指摘。「強盗は昔は銀行を襲ったが、今は顧客を襲っている」とも述べた。
デンマークの総人口は約590万人。国連が出している国民の幸福度に関する各国別調査では常に上位に入っている。昨年は同じ北欧のフィンランドに次いで2位だった。
現金重視などからデジタル化への金融サービスの移行が世界規模で進展し、それと共にサイバー犯罪が増えている中で、銀行強盗の発生は他国でも同様に低減している。米連邦捜査局(FBI)の銀行犯罪統計によると、米国内では21年に1724件報告されたが、04年の7556件に比べると激減していた。