ワグネル傭兵の戦場での非情な掟、ウクライナ軍の諜報分析
(CNN) ウクライナ軍は26日までに、激戦地である同国東部に展開しているロシアの民間軍事企業「ワグネル」の傭兵(ようへい)部隊について「使い捨て」の投入手法が色濃いものの、応戦には非常に手ごわい戦力になっているとの諜報(ちょうほう)分析をまとめた。
CNNが入手したこの分析は、攻防が激しいウクライナ東部ドネツク州バフムート周辺でのワグネル傭兵が効果的な戦いを見せていることを認めた。
今回の分析結果は昨年12月時点のもので、これら傭兵が多大な犠牲者を被っている中でも、近接戦闘において特有の脅威を及ぼしていると指摘。「彼らの数千人が死亡したとしてもロシア社会には大きな意味をもたらさないのだろう」とも主張した。
その上でワグネル傭兵の戦場での掟(おきて)にも言及。「命令がなければ撤収しない」とし、「許可なくしての集団での撤退あるいは負傷しないでの退却はその場で処罰が下される行動になる」と分析した。
ウクライナの情報機関が得た電話傍受の内容によると、実戦の場にいるワグネル傭兵の間では容赦ない仕打ちがあることを示す事例があった。ウクライナ側への投降を試みた戦闘員について別の傭兵が「彼は捕まり、局部を切断された」と電話で話すのを聞いたとする証言もはさまれた。
CNNは昨年11月にあったとするこの電話の内容の真偽について独自には確認できていない。
また、負傷したワグネル傭兵はしばしば、戦場に数時間放置されているとも説明。歩兵戦闘部隊は自らが負傷兵を運んで戦場から遠ざけることを許されていないとし、作戦の目標を達成するまで戦闘を続行することが主要な任務であるためだとした。
攻撃が失敗した場合、後退は夜間のみに認められる規則があるともした。
ワグネルは、プーチン大統領に近いと言われる新興財閥(オリガルヒ)のエフゲニー・プリゴジン氏が創設。同氏はここ数週間、ドネツク州での戦況報告で露出度を強めており、拠点バフムートに近いソレダル陥落などで自らの傭兵の戦績を誇示してもいる。