ウクライナ、より長距離のミサイルを要望 ロシアは過去の失敗から学ぶ
(CNN) ウクライナの当局者らはロシアが戦場での失敗から学び、弾薬集積所や兵站(たん)拠点へのミサイル攻撃を難しくする措置を講じているとの見方を示す。ウクライナがロシア国内を射程に収める、より長距離のミサイルを必要としている理由はそこにある。
当局者らはロシアのゲラシモフ参謀総長がウクライナ侵攻の総司令官に任命された人事にも触れ、軍の序列を何度も入れ替えてきたロシア政府による最後の賭けだとの見方を示した。
ウクライナ国防情報総局の幹部バディム・スキビツキー氏は23日、CNNに対し、ロシアが「ロシア連邦内の各地」に軍事物資を分散させ始めたと指摘。
特に、ロシアのロストフ州にある兵站拠点から「あらゆる物資がクリミア半島を通って南部へ運ばれている」との見方を示した。
このため、ロシアの占領下にあるクリミア半島だけでなく、「ロシア連邦内の施設」に対しても攻撃を行う必要が出てきている。
スキビツキー氏によれば、ロシアの兵站施設は前線から80~120キロ離れた地点に置かれている。つまり、ウクライナがこうした施設を狙うには今より長射程の攻撃システムが必要になる。
長距離火力が必要な理由は他にもある。複数のウクライナ当局者はロシアの増援部隊の装備が整い、移動可能な状態になる前に反攻に出たい考えを示したが、そのためにはより長い射程が必要だ。
「反攻や攻勢作戦を準備するには、多くの施設を破壊する必要がある。前線だけでなく、敵の戦線から100~150キロ離れた奥深くにある施設を攻撃しなければならない」(スキビツキー氏)
昨年夏に行われたウクライナ南部ヘルソン州の占領地への攻撃では、米国製の高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」がこうした拠点の排除に高い効果を発揮した。だが、ハイマースの射程ではロシア領に届かない。
バイデン米政権はこれまでのところ、ロシア国内に届くシステムの供与に慎重な姿勢を崩していない。