イタリア、「一帯一路」構想から離脱へ 欧州は対中関係再考
香港(CNN) 中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」 に主要7カ国(G7)のメンバーで唯一参加していたイタリアは、来年3月の契約満了時に構想から離脱する見通しとなった。中国政府と同国が抱く世界的な野心に対して、欧州が態度を硬化させている最新の兆候となる。
メロー二伊首相は7日、広く予想されていた「一帯一路」離脱の方針について確認した。2019年に前政権が中国と交わした当該の契約を巡っては、イタリア経済に恩恵がほとんどもたらされていないとの不満が噴出。メロー二氏は首相就任に挑んだ昨年の選挙で、構想からの離脱を公約に掲げていた。
ただ同氏は、離脱後も中国政府と良好な関係を維持できると強調する。「一帯一路」については中国の世界的な影響力が拡大する一方、一部の国々に管理不能な負債を背負わせているとの懸念が浮上している。
イタリアが加盟する欧州連合(EU)は、中国のサプライチェーン(供給網)からのリスクを低減する取り組みに着手。同国を「体系的ライバル」と位置づけた19年以降は、機微なテクノロジーの安全確保に向けた活動にも乗り出している。
こうした双方の不和は、7日に北京で開かれたEU首脳と中国の習近平(シーチンピン)国家主席の会談で露呈した。両者は貿易やロシアによるウクライナでの戦争といった問題で主張が食い違い、具体的な議論の進展はほとんど見られなかった。
中国外務省の報道官は、同日の定例会見でイタリアの「一帯一路」離脱について問われ、「一帯一路の連携には非常に大きな魅力と世界的な影響力が伴う」と指摘。「中国は一帯一路の連携を中傷、妨害する試みには断固として反対する。地域間の対立や分断をかき立てる行為についても同様だ」と強調した。この中でイタリアを直接名指しすることはなかった。