エストニア、「影の戦争」による攻撃を阻止 首相がCNNに明かす
(CNN) エストニアのカヤ・カラス首相はCNNの取材に答え、同国がロシアの指令に基づく影響工作を国内で阻止していたことを明らかにした。
当該の工作は昨年行われた一連の攻撃に関連するもの。具体的には内相の車両や複数の記念碑の破壊などが含まれる。
エストニア国内保安庁は10人を逮捕しており、逮捕者にはロシア国籍もいればエストニア国籍もいる。エストニアの当局者によると、さらに多くの攻撃が計画されていたという。
カラス首相は「我が国の社会に対して、影の戦争が仕掛けられている」「ロシアの影響工作の目的は、我が国の民主的な意志決定に影響を及ぼすことだ。このような事案を公開していけば、我々の認識は高まる。それによりこれらの工作は、ロシアの期待する効果をもたらさなくなる」と述べた。
エストニアの当局者らはCNNに対し、こうした工作がロシアの治安機関の指令及び同機関との連携の下で実行されたとの見解を示した。米国など同盟国の諜報(ちょうほう)機関は、ロシア連邦保安局(FSB)が近年、複数の欧州諸国で同様の影響工作に関与してきたと断定している。FSBはロシアの主要な治安機関で、旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後継組織。
エストニア政府は20日、上記の10人について「ロシアの特殊部隊のために活動」しているとして拘束したと発表。その目的はエストニア社会に恐怖を広め、緊張を作り出すことにあると指摘した。
エストニア国内保安庁のパロソン長官によれば、容疑者の一部はソーシャルメディアで集められているという。
ロシアはこれまでのところ、こうした主張に反応していない。
これに先駆け、カラス首相はX(旧ツイッター)で、ロシアの治安機関による混合的な工作の阻止に成功したと明らかにしていた。「クレムリン(ロシア大統領府)が我が国の民主的な社会の全てを標的にしていることは承知している」(同首相)
諜報関連のアナリストらは、ロシアの治安機関が東欧全域での混合的な影響工作に関与しているとみている。こうした中にあって、ロシア語話者が人口の25%近くを占めるエストニアはかねて特段の標的と目されている。