韓国大統領の拘束令状、裁判所が発行 内乱容疑で
ソウル(CNN) 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が出した「非常戒厳」をめぐり、ソウル西部地裁は12月31日、尹氏の拘束令状を発行した。現職大統領に拘束令状が発行されるのは初めて。
警察と合同捜査を行っている「高位公職者犯罪捜査処」(公捜処)によると、拘束令状にある容疑は職権乱用と内乱の首謀。尹氏が合同捜査本部の出頭要請に3回にわたり応じなかったため、前日に拘束令状を請求していた。
韓国の法律では内乱の首謀は無期懲役または死刑となる。
尹氏は今月3日に非常戒厳を出して政治危機を引き起こした。これを受けて、国会は14日、尹氏に対する弾劾(だんがい)訴追案を可決し、尹氏は大統領権限を剥奪(はくだつ)された。訴追案の採決では身内の与党「国民の力」の一部議員も賛成に回った。
拘束令状の発行について、尹氏の弁護士は「不法で無効」だとした。「明らかに法律で承認されていない機関からの令状の請求であり、そのプロセスも不透明だ」と指摘した。
公捜処によると、拘束令状は通常7日以内に執行されなければならないが、期限が延長されることもあるという。
合同捜査本部は捜査の一環として大統領執務室の家宅捜索を試みたが、尹氏の警護を担う大統領警護処に阻まれた。
大統領警護処は31日、「正当な手続きに従って警護措置が取られる 」と述べた。
尹氏はここ数週間、公の場から遠ざかっており、現在、憲法裁判所での弾劾審判の決定を待っている状況。憲法裁の判断によって、正式に大統領職から解任されるか、大統領職に復帰するのかが決まるが、この手続きには最大で6カ月かかる可能性がある。27日に初の公判前審理が開かれた。