米原子力空母エンタープライズ退役へ 炉除去に3年、船体は一部売却
ワシントン(CNN) 世界初の原子力空母だった米海軍の「エンタープライズ」が今年12月1日に前線任務から正式に外れ、原子炉の撤去や核燃料の抜き取り、船体の解体が実施されることになった。金属類はスクラップとして売却されるという。
同空母は米軍の戦闘艦船としては最長の就役年数を持ち、半世紀にわたって米海軍の力の象徴ともなっていた。
大西洋艦隊航空隊の報道官によると、搭載する8基の原子炉の撤去や核燃料抜き取りには3年かかる。これに必要な経費は数千万ドルに達する見通し。炉の取り外しは米ワシントン州ピュージェットにある海軍造船所で実施される。この作業が終了すれば同空母は正式に退役したとみなされる。
同報道官によると、エンタープライズは原子炉停止の処置後、母港のバージニア州ノーフォークから同州ニューポートニュースの造船所に引航され、全ての核燃料が抜かれる。燃料は一時保管のためアイダホ州の施設に移される。最終処理はこの後になる。
ニューポートニュースではまた、エンタープライズの一部の設備を取り外す。艦載の航空機、弾薬類と推進系統システムを取り除いた同空母はこの後、南米大陸最南端にあるホーン岬沖を通過して米西部のワシントン州ピュージェットサウンドにある海軍造船所へ曳航(えいこう)される。ホーン岬をわざわざ経由するのは同空母の船体が巨大でパナマ運河の利用が無理だからだ。